「今後、日本が目指すべき社会のあり方や、一人ひとりの生き方を再構築するために不可欠のアプローチとして “ 社会工学(Social Engineering) ” という視界が重要であり、その意味でジェロントロジーは “ 高齢化社会工学 ” と訳すべき」と提唱している本があります。
本日紹介するのは、日本総合研究所会長、多摩大学学長の寺島実郎さんが書いた、こちらの書籍です。
寺島実郎『ジェロントロジー宣言「知の再武装」で100歳人生を生き抜く』(NHK出版新書)
この本は、本格的かつ体系的なジェロントロジー研究を進めるために「ジェロントロジー研究協議会」を立ち上げることにした著者が、社会システムを安定させ、戦後なる日本の帰結ともいえる「都市郊外型高齢化」に立ち向かい、参画のプラットフォームを拡充するために書かれたものです。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.ジェロントロジー宣言
2.異次元の高齢化社会とは
3.最大の課題・都市郊外型の高齢化ー戦後日本の帰結として
4.知の再武装ーなぜ必要か、そして何をどう学び直すか
5.ジェロントロジーへの新たな視界ーからだ・こころ・おかね
6.高齢者の社会参画への構想力ー食と農、高度観光人材、NPO・NGO
7.資料編
8.あとがきージェロントロジー研究協議会の立ち上げに向けて
この本の冒頭で著者は、「100歳人生」が語られる今、60歳前後で定年退職を迎えた人は、その後の40年を超える人生をどう生きるのであろうか、と問いかけています。
そうした中で「ジェロントロジー」を高齢化社会工学と認識し、広い視界から社会総体のあり方、人間の生き方を探り、新しい社会構想を提起しています。
したがって、現代に生きる一人ひとりにとって、「知の再武装」が必要とされる時代、と著者は述べています。
自分自身と向き合い、意識して学び直しを行うことで、21世紀の世界に対する視野を広げ、自分の立ち位置を理解する必要がある、ということです。
本書の中で著者は、「異次元の高齢化」というキーワードを提起し、人口減少と地域格差の進行、社会構造の変化、長い視点で人生を組み立てることの大切さを強調しています。
そして独自の視点として、首都圏の国道16号線に沿って、団地、ニュータウン、マンション群など、都市郊外型のコンクリート集合住居空間に住む戦後生まれの人々の高齢化という問題を提起しています。
そのほかこの本の中盤以降では、次のような高齢化社会がもたらす課題を挙げています。
◆ シルバーデモクラシーのパラドックス
◆ エスカレートする社会の歪み
◆ 近代史を学ぶ必要
◆ 生命科学がもたらす新しい人間観
◆ AIの進化を考える
また、本の後半では、ジェロントロジーの新たなテーマとして、以下の視点を挙げています。
◆ 医療ジェロントロジー(健康寿命を延ばすということ・4P医療)
◆ 宗教ジェロントロジー(高齢者の心の問題と信仰)
◆ 金融ジェロントロジー(老後生活の防衛から社会参画へ)
続いて、高齢者の社会参画への構想力として、とくに都市郊外型高齢者の社会参画として、次の3つの分野が紹介されています。
◆ 農業ジェロントロジー(食の自給率を問い直す)
◆ 観光ジェロントロジー(高度観光人材としての高齢者の参画)
◆ NPO、NGOへの挑戦ー非営利的仕事への参画主体として
巻末には、資料編として、①都市郊外地域(多摩市・春日部市)の人口変化、②NPOの現状、③海外におけるジェロントロジー研究が紹介されています。
あなたも本書を読んで、人生100年時代を迎えて注目される、ジェロントロジーについて学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を