いわゆる「哲学入門」ではなく、著者個人のコンサルティング経験から「使えるか、使えないか」という観点のみから評価して編集した、人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50を紹介した本があります。
本日紹介するのは、慶應義塾大学文学部哲学科を卒業、同大学院文学研究科美学美術史学専攻修士課程を修了し、電通、ボストン・コンサルティング・グループ等を経て、現在は組織開発・人材育成を専門とするコーン・フェリー・ヘイグループに参画している山口周さんが書いた、こちらの書籍です。
山口周『武器になる哲学 人生を生き抜くための哲学・思想のキーコンセプト50』(KADOKAWA)
この本は、世界の建設に携わっているビジネスパーソンにこそ、哲学・思想のエッセンスを知っておいて欲しいからという理由で書かれたものです。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.プロローグ: 無教養なビジネスパーソンは「危険な存在」である
2.「人」に関するキーコンセプト
3.「組織」に関するキーコンセプト
4.「社会」に関するキーコンセプト
5.「思考」に関するキーコンセプト
この本の冒頭で著者は、前著『世界のエリートはなぜ「美意識」を鍛えるのか?』(光文社新書)において、社会において大きな権力・影響力を持つことになるエリートの教育では、哲学を中心としたリベラルアーツ教育がますます重視されるようになってきているという世界の潮流を紹介したことを述べています。
例えば、近代以降、ヨーロッパのエリート養成を担ってきた教育機関では、長らく哲学と歴史が必修とされ、今日でもオックスフォード大学の看板学部PPE(哲学・政治・経済学科)では哲学が3領域の筆頭になっています。
またアメリカでも、エリート経営者の教育機関として名高いアスペン研究所では、グローバル企業の経営幹部候補が集められ、プラトン、アリストテレス、マキャベリ、ホッブズ、ロック、ルソー、マルクスといった哲学・社会学の古典をみっちりと学んでいます。
なぜビジネスパーソンが哲学を学ぶべきなのかについて、著者の山口さんは次の4点を挙げています。
1.状況を正確に洞察する
2.批判的思考のツボを学ぶ
3.アジェンダを定める
4.二度と悲劇を起こさないために
本書では、知的戦闘力を最大化する50のキーコンセプトを紹介していますが、とくに印象的で有用だと共感したものを以下に挙げておきます。
◆ ロゴス・エトス・パトス:論理だけで人は動かない(アリストテレス)
◆ 自由からの逃走:自由とは耐えがたい孤独と痛烈な責任を伴うもの(エーリッヒ・フロム)
◆ アンガージュマン:人生を「芸術作品」のように想像せよ(ジャン・ポール・サルトル)
◆ フロー:人が能力を最大限に発揮し、充足感を覚えるのはどんな時か?(ミハイ・チクセントミハイ)
◆ 他者の顔:「わかりあえない人」こそが、学びや気づきを与えてくれる(エマニュエル・レヴィナス)
◆ 権力格差:上司は、自分に対する反対意見を積極的に探せ(ヘールト・オフステード)
◆ 公正世界仮説:「見えない努力もいずれは報われる」の大嘘(メルビン・ラーナー)
◆ 無知の知:学びは「もう知っているから」と思った瞬間に停滞する(ソクラテス)
◆ イデア:理想に囚われて現実を軽視していないか(プラトン)
◆ 未来予測:未来を予測する最善の方法は、それを「発明」することだ(アラン・ケイ)
あなたも本書を読んで、「使える哲学」を学び、リベラルアーツの重要性を体感してみませんあk。
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では、今日もハッピーな1日を