「バブル入社組は何ゆえ、そこまで評判が悪いのか、当人たちも居心地が悪いのか」と問いかけて、バブル入社組はどうあるべきなのかについて考えている本があります。
本日紹介するのは、人事・組織コンサルタントで株式会社HRアドバンテージ代表取締役社長の相原孝夫さんが書いた、こちらの書籍です。
相原孝夫『バブル入社組の憂鬱』(日経プレミアシリーズ)
この本は、バブル期の大量採用世代が現在、アラフィフ(50歳前後)になり、「なぜか楽観的で、暑苦しい」と言われて評判が悪いのはなぜか、この世代特有の強みと弱み、憂鬱の原因、今後の進むべき道を、同世代の人事・組織コンサルタントという立場から、多くの事例を取り上げて考察したものです。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.バブル入社組の現在
2.「こんなはずでは・・・・」の矛先
3.バブル入社組の評判
4.人数は多いが、役職は減っていく
5.世代には特有の共通点がある
6.「バブル」対「氷河期」の構造
7.バブル入社組の強みと弱み
8.「根拠なき自信」がバブル世代を救う!?
この本の冒頭で著者は、心理学における「欲求不満-攻撃仮説」を紹介し、中高年になったバブル世代が、満員電車での通勤、仕事の厳しいノルマ、不公平な評価、残業の多さ、職場での居心地の悪さ、上司との折り合いの悪さ、低い報酬、業務ミスによる上司からの叱責、顧客クレームなどによる不満やストレスを、会社の外で何かあった時や、ネット上の書き込みなどで、攻撃的になって鬱憤を晴らすケースが多い、と指摘しています。
自宅の近所に保育園ができると「子どもの声がうるさい」と役所にクレームを言ったり、病院での待ち時間が長いとキレたりする「不寛容な社会」になりつつあることに、本書では問題提起をしています。
また、部下が自分の思う通りにならないと言って、職場でパワハラを行う事例も急増しています。これらは、小中学校のいじめに近いレベルのもので、社員の寛容性を奪い、子ども社員化を促す「ストレスの蓄積」がその背景にある、と著者は言います。
著者が指摘する「子ども社員」の特徴は以下の通りです。
◆ 他人に関心が無い、自分のことばかり考えている
◆ 他人を変えようとする、自分が変わろうとしない
◆ 他人に働きかけない、自分に何かしてくれるのを待っている
◆ 自分がうまくいかないのを他人のせいにする、失敗から学ばない
◆ チャレンジしない、従来路線を踏襲する
◆ 自ら話しかけない、話しかけられるのを待っている
本来あるべき「おとな社員」との違いは、「自分志向」か「他人志向」かという点だ、と著者は指説明しています。
また、会社組織はピラミッド構造になっていることから、50代社員にはポストがなく、役所やメガバンクなどのように、天下り先や出向先をあまり持たない会社は、その処遇に困っています。
とくにバブル期に大量採用したバブル世代が、キャリアの最後まで緊張感を持って働いてもらうことが、企業にとって喫緊の課題になっています。
一方、バブル入社組の社員は、「会社に裏切られた」と思っている人が多い、と言います。「昇進、昇格が期待通りできなかった」とか、「人事制度が変わり、定期昇給がなくなった」などがその理由です。
次にこの本では、ダイバーシティが議論されている中で、実は一番の問題は、女性やシニアの活用よりも、バブル世代を中心とする「部下なし管理職」になるのではないか、と予測しています。
役職定年を分岐点とする「ライン管理職」と「スタッフ管理職」の差は、給与などの待遇面もさることながら、「メンタリティ面」の格差が大きいのではないでしょうか。
本書の後半では、団塊世代(1040年代後半生まれ)、新人類世代(1950年代後半~60年代前半生まれ)、バブル世代(1960年代後半生まれ)、氷河期世代(団塊ジュニア、1970年代生まれ)、ゆとり世代(1980年代後半~2000年代前半生まれ)の、各世代別特徴が紹介されています。
とくに、バブル世代と氷河期世代の対比分析は興味深く、詳しくはぜひ、本書を手に取ってお読みください。
そして、バブル入社組が湯鬱になる5つの理由が、次の通り説明されています。
1.今の時代に合わない
2.氷河期世代との相性が悪い
3.マネジメント力が弱い
4.「年下の上司」という状況が我慢ならない
5.今後の15年間が想像できない
この本の最後に著者は、結論として、バブル世代の以下の「4つの特徴」を活かし、それを会社の内外でいい方向に持っていくよう提言しています。
◆ コミュニケーション能力が高い
◆ 「根拠なき自信」がある
◆ 会社への依存心が強い
◆ 見栄を張りたがる
あなたも本書を読んで、「バブル入社組の憂鬱」について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を