「世界トップをひた走るアメリカの大学で異変が起き始めている!」と指摘している本があります。
本日紹介するのは、ウィスコンシン大学ミルウォーキー校社会学部准教授のアキ・ロバーツさんが書いた、こちらの書籍です。
アキ・ロバーツ・竹内洋『アメリカの大学の裏側 「世界最高水準」は危機にあるのか?』(朝日新書)
この本の冒頭で著者は、日本の大学の「お手本」となってきたアメリカの大学を取り巻く問題や対処法は、アメリカ独自のものではなく、日本の大学も直面している共通の課題が少なくない、と述べています。
そして、アメリカの大学の実態を徹底リポートする中から考察した「日本の大学論」も記されており、そういう意味で、すべての大学関係者、受験・留学希望者、保護者は必読の一冊と言えるでしょう。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.ランキングからみるアメリカの大学
2.「テニュア制度」(終身雇用制)のメリット、デメリット
3.庶民には手の届かないアメリカの大学
4.アメリカの大学受験の商社はだれ?
5.大学の価値って何?
6.アメリカを「鏡」に日本の大学を考える
この本では最初に、世界大学ランキングについて、なぜアメリカの大学が有利なのか、という詳細な解説が記されています。
まず、一般に広く知られているイギリスの高等教育機関誌『タイムズ・ハイヤー・エデュケーション』の世界大学ランキング(=「THE世界ランキング」)をはじめ、同じイギリスの大学評価機関クアクアレリ・シモンズの「QS世界大学ランキング」や上海交通大学の「世界大学学術ランキング」を紹介しています。
これらランキングの上位の大学には、次のようなあるパターンがある、と本書では指摘しています。
◆ 英語圏の欧米の大学(アメリカ、イギリス、カナダ、スコットランド)
◆ 論文の「引用度」は世界の共通語である英語で書かれることが重要
◆ 論文引用頻度の審査対象とされる学術誌2万誌以上のうち、日本の学術誌は2%以下
次に、アメリカ国内の大学ランキングとして、『USニューズ&ワールド・レポート』の「ベスト・カレジズ」というランキングを紹介しています。
このランキングは、1983年にはじめて発表され、進学希望者や企業の新卒採用で、米国内で最も参考にされるランキングになっている、ということです。
また、大学教授という研究者側が最も参考にするものとして、「カーネギー分類」と呼ばれる大学の分類法を本書では紹介しています。
これは、博士号の授与数や研究予算や研究設備などの研究するための環境、研究と教育とのウエイト配分など、研究者がより「学者」としてのアイデンティティを追求しやすいか、を測定する分類になっています。
つまり、研究大学なのか、教育重視の大学なのか、を調べる時に、「カーネギー分類」が役立ちます。研究大学は、「博士号授与大学」に分類され、R1、R2、R3と略して呼ばれます。
R1が「最高度の研究活動」をしている大学で、現在115校が分類されています。以下、R2は「高度の研究活動」、R3は「普通レベルの研究活動」です。但し、「博士号授与数」はいずれも年間20以上となっています。
本書の中盤から後半にかけては、「テニュア制度」と呼ばれる、アメリカでは珍しい「終身雇用の教授」という仕組みのメリット・デメリットの説明や、アメリカの大学の授業料がなぜここまで高いのか、という分析が記されています。
さらに本書の終盤では、アメリカ大学受験の勝ち組や、大学の価値について述べられています。最後に、関西大学東京センター長で教育学博士の竹内洋さんによる、「日本の大学に関する考察」があり、アメリカの大学を手本にしてきた日本の大学のあり方を考える参考になります。
あなたも本書を読んで、改めて世界の大学と日本の大学の格差や今後の大学の課題について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を