「たった60分で読める薄い本だけど、一生あなたを離さない本」と言える名著があります。
「アイデアをどうやって手に入れるか」という本質への解答を書いた、ジェームス・W・ヤングの書いた、こちらの書を今日は紹介します。
ジェームス・W・ヤング『アイデアのつくり方』(阪急コミュニケーションズ)
この本は、様々な職業を経験したジェームス・ウェブ・ヤングが、アメリカ最大の広告代理店 J・ウォルター・トンプソンでコピーライターから初めて支社長や本社副社長を務める過程で得た「アイデアのつくり方」の原理と方法を記したものです。
本書は以下のような11部構成から成っています。
1.まえがき
2.この考察をはじめたいきさつ
3.経験による公式
4.パレートの学説
5.心を訓練すること
6.既存の要素を組み合わせること
7.アイデアは新しい組み合わせである
8.心の消化過程
9.つねにそれを考えていること
10.最後の段階
11.二、三の追記
最後に、竹内均さんの解説と訳者・今井茂雄さんのあとがき及び著者・ジェームス・ウェブ・ヤングの略歴が付いています。
本書で述べる「アイデアのつくり方」の原理および方法は、以下の過程として説明されています。
1.資料集め(特殊資料の収集と一般的資料の収集)
2.資料を咀嚼する(心の中で資料に手を加える)
3.孵化段階、意識の外で何かが自分で組み合わせの仕事をやるのにまかせる
4.つねに考えること、アイデアは突然やってくる(分かった!見つけた!)
5.現実の有用性に合致させるために最終的にアイデアを具体化し展開させる
この本における著者の結論は、「アイデアは既存の要素の組み合わせで、その原理や方法は修得が可能」というものです。
私が特に感銘を受け、自分でも経験し実践しているのが、情報収集は特殊知識(商品や対象者)と一般的知識(リベラルアーツ)の両方が必要だ、ということです。
一般的知識の収集・蓄積によって、新しい組み合わせの可能性が飛躍的に増大し、アイデアが生まれるチャンスもそれだけ大きくなる、ということです。大学教育で一般教養(リベラルアーツ)が大切な理由もここにあります。
新しい組み合わせでアイデアを生み出す過程を著者は「万華鏡」に例えて説明しているのも印象的です。「万華鏡」はデザイナーが新しいパターンを探し出すのに時々使用する器具です。
万華鏡には色ガラスの小片がいくつも入っていて、プリズムを通してそれを眺めると、この色ガラスがあらゆる種類の幾何学的デザインを作り出すのです。
また、「アイデアのつくり方」の第3段階で、いったん問題を意識の外に出して、自分の想像力や感情を刺激するものに心を移すことの重要性もよく理解できました。
音楽を聴いたり、劇場や映画に出かけたり、詩や探偵小説を読んだりすることが、「アイデアの消化過程」にあたり、第4の「孵化段階」へ繋がるのでしょう。
リラックスした過程を経て、ある日突然、全く関係のない瞬間に、「素晴らしいアイデアを思いつく」という経験を多くの人がしています。私も何度も体験しています。
最後に著者のヤングさんは、「アイデアの作成過程」のすべてを理解するのに役立つ書物として、以下の3冊を上げています。
1.グラハム・ワラス『思考の技術』(ジョナサン・ケープ社)
2.H・ポアンカレ『科学と方法』(T・ネルソン・アンド・サンズ)
3.W・I・B・ビーバリッジ『科学的研究の技術』(モダン・ライブラリー)
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では、今日もハッピーな1日を!