「人生の半分が過ぎた50代から60代にかけてが、長寿時代への準備を進める大切な時期となる。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1947年生まれ、一橋大学商学部卒業後、総合商社に勤務して主に鉄鋼貿易業務に従事、1999年に退社後に著述業、NPO活動などを行う布施克彦さんが書いた、こちらの書籍です。
布施克彦『65歳からでは遅すぎる!! 』(海竜社)
この本は、著者の海外体験に基づいた、外国の高齢者たちの生き様も参考にしながら、超長寿時代における人生後半のライフデザインづくりを考えるための書です。
本書は以下の6部構成から成っています。
1.居場所を求めてさまよう高齢者たち
2.定年後もできるだけ長く働こう
3.長く働くための準備
4.家族関係のリセット
5.海外の高齢者の居場所
6.70歳にして不惑
この本の冒頭で著者は、「筆者のこれまでを顧みれば、余生への居場所確保に向けた行動や準備は、定年前に遡った早い時期から始めるべきだったと反省することが多々ある。」と述べています。
この言葉は、私が『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)にて提唱している「トリプル・キャリア」という人生設計を50代のうちに立てて、70歳以降の「サードキャリア」をきちんと組み立てておく、という考え方と共通のものです。
布施克彦さんの本ではまず、「居場所を求めて」さまよう定年退職者(高齢者)の実情が記されています。そして自ら71歳になって、仕事とどう向き合うかを模索しています。
著者の結論は、「定年後もできるだけ長く働こう」というもので、悠々自適20年は長すぎるということです。(65歳定年で、60歳男性の平均余命を足して85歳まで生きると仮定した場合)
そうかと言って、「第二定年の70歳を迎えてからあらたに仕事を探すのでは、明らかに遅きに失する」と著者は指摘しています。
では、長く働くための準備として本書で挙げているのは以下の5点です。
◆ 40代での基礎固め(第二の人生への準備、専門性を磨いて何らかの分野のプロを目指す)
◆ 50代は決断のとき(定年まで働くか、第二の人生に踏み出すか)
◆ 専門性に付加価値を(汎用性をもたせる、他の人との差別化を図る)
◆ ツテを作っておく(情報化時代のネットワーク)
◆ マグロのように一生休まず働き続ける
続いて著者は、家族関係(とくに子供や配偶者との関係)について、リセットして新たな関係を作ることを提唱しています。「卒婚」という理想で、離婚や別居とは違う、「夫婦それぞれが好きなやり方で、自由に時間を過ごす」ということです。
子どもについては、「社会人になってからも家に居座る子どもがいたら、特段の事情がなければ、家から出して独立を促すのがよい。」と著者は述べています。
この本の後半では、海外の高齢者の居場所について紹介されています。日本と違って、西洋では次のような場所に行けば必ず高齢者に会える、と言います。
◆ 公園
◆ 広場
◆ 教会やモスクなどの宗教施設
◆ 食堂、カフェ
◆ 道端などの空間(庶民)
◆ 会員限定のクラブ施設(富裕層)
著者は最後に70歳においての心も持ち方を整理して記しています。「不惑」という中味について、以下のようなことを挙げています。
◆ 未来心配性の克服
◆ マニアックな友人づくり(コミュニティ)
◆ 孤独への準備
◆ 堂々たる老人
この本は、先を読んで定年前にフリーランスになり、著述業を中心に様々な活動をしてきた著者の布施さんが、第二定年と言われる70歳になって、この先のキャリアや生き方について、率直な思いを語ったもので、個人的にもとても興味深く読みました。
あなたも本書を読んで、「65歳からでは遅すぎる」と著者が述べている「超長寿時代の人生設計」について考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!