書評ブログ

50代からの起業に重要!『小さな会社こそ、高く売りなさい』

「小さな会社が商品を高く売る方法」を戦略として紹介している本があります。本日紹介するのは、50代からの起業に大いに参考になる、こちらの書です。

 

竹内謙礼『小さな会社こそ、高く売りなさい』(日本経済出版社)

 

この本は、小さな会社が大きな会社を相手に市場で戦うための「スモールプレミアム戦略」を述べた書です。著者によれば、小さな会社はつねに次の3つのことで頭を悩ませています。

 

 

1.金
2.時間
3.人

 

 

金がないから、いい商品を作れないし、仕入れることができません。
時間がないから、早く売ろうとして安売りをしてしまします。
人がいないから、簡単に売ろうとして価格を下げてしまいます。

 

このように、金と時間と人のない会社は、「安く売る」というロジックに陥りやすい、と著者の竹内さんは言います。

 

だからこそ、小さな会社は高く売るべきだ、というのが本書の結論です。それが「スモールプレミアム戦略」ということです。

 

 

本書は、以下の5部構成から成っています。

 

 

1.なぜ、小さな会社は「値上げ」ができないのか?
2.小さな会社が大きい会社と戦うための「プレミアム商品戦略」
3.小さな会社が少ない広告費で戦うための「プレミアム集客戦略」
4.小さな会社がライバル会社よりも高く売るための「プレミアム販売戦略」
5.こんなにあるスモール・プレミアム戦略企業

 

 

マーケットが成熟したモノ余り時代の競争においては、「安く・良い」「高く・良い」のどちらかしか生き残ることはできません。「安く・悪い」は今やビジネスが成り立たず、「安く・良い」は市場が大きく、大手企業の寡占になりつつあります。

 

ネットとリアルでボーダーレス化する市場を象徴する現象が、「ショールーミング」だと著者は言います。

 

「ショールーミング」とは、実店舗(リアル)に赴いて商品を確かめて、その後、その店では買わず、オンライン上で最安値の商品を探して購入する消費行動のことです。

 

アメリカの大手家電量販店「ベストバイ」は、ショールーミングの影響で2012年は減収減益で株価が急落しました。イギリスの大手カメラチェーン「ジェソップス」ショールーミングの影響によって経営破綻に追い込まれました。

 

従来であれば、ショールーミングパソコンを立ち上げて価格比較する方法しかありませんでした。つまり一旦、「家に帰る」手間が必要でした。

 

ところが、スマートフォンの爆発的な普及によって、いつでもどこでも価格の比較ができるようになってしまったのです。野村総研の生活者1万人アンケート調査2012によれば、約7割の人がショールーミングをやっていると回答しています。

 

ショールーミングという消費行動は、ネットとリアルの世界をボーダーレス化させ、激しい価格競争の市場を作り出してしまっているのです。大きい会社しかこの厳しい環境は打破できません。

 

小さな会社は、「高く売る」やり方しか生き残る道はありません。髙く売るには、伝える力、すなわち表現力が重要です。表現力がなぇれば、仕組みが必要です。

 

また、高く売るには「客の質」を変えることです。高くても買ってくれる客を相手にビジネスをするのです。

 

髙く売れる「商品」とは、お金で買えないものです。例えば、「時間」「幸せ」などです。「問題解決」も、解決が難しいものほど、お金に代えられない価値を生みます。

 

大きな会社は、たくさんの見込み客を集めて、その中からプレミアム客を見つけたり、育てたりしていきます。小さな会社はそもそも大量の集客をする広告予算も人材もいません。

 

したがって、少ない集客の全員がプレミアム客とするしかありません。言い換えれば、プレミアム客だけを集める工夫をするのです。

 

小さな会社がプレミアム客を集める販促手法が次の5つしかありません。

 

 

1.ターゲットを絞る
2.継続して情報を発信する
3.キャラクターを前面に打ち出す
4.お得感を強調する
5.楽しい販促物を制作する

 

 

ターゲットが広いと集客のための広告費がかかってしまします。できるだけ地域やカテゴリーを絞ることが重要です。

 

継続して情報を発信するのは、大量の広告で一気に認知度を高める大手企業のようなことはできないので、長期的にコツコツと客の役に立つ情報を発信して、客との距離を縮めていくのです。

 

これは以前、紹介した「コンテンツマーケティング」ということです。また、「我慢」と「成長」を意識することが大切だと著者は述べています。

 

コンテンツマーケティングを紹介した2015年1月4日付ブログはこちらです。

 

http://bit.ly/1drZ9Dj

 

本書の最後の部分を中心に、「スモール・プレミアム戦略企業」を紹介しています。こんなにも元気に活躍する「小さな企業」があることは驚きです。

 

定年前起業をする皆さまは、「高く売る」スモール・プレミアム戦略を理解し、実践することを期待しています。

 

 

では、今日もハッピーな1日を!