「目標はあるのに、なぜか業績が上がらない」「KPIを設定したはずなのに、現場では形骸化している」――そんな悩みを抱える組織は、実は少なくありません。

本日紹介するのは、1964年大阪府生まれ。大阪大学大学院工学研究科修士課程修了後、リクルートに入社し、29年間にわたり事業開発・組織づくり・人材育成の最前線を歩んできた実務家。現在は株式会社中尾マネジメント研究所(NMI)代表として、業績向上コンサルティング、経営者塾、経営者メンター、講演・ワークショップなどを通じて、多くの企業を支援。「KPIマネジメント」の第一人者として、理論と現場を知り尽くした中尾隆一郎さんが書いた、こちらの書籍です。

中尾隆一郎『決定版 4ステップでできる KPIマネジメント』(明日香出版社)

この本は、KPIを「設定する本」ではありません。KPIを、現場で機能し続ける仕組みとして定着させるための実践書です。

本書は以下の10部構成から成っています。

1.誤解だらけのKPIマネジメント

2.4ステップでKPIマネジメントを作成する方法

3.1st Step 関係者全員が「KPIマネジメントと仲良くなる」ための講演

4.2nd Step プロジェクトメンバーが長男(Goal)と次男(KGI)を確認する

5.3rd Step 三男(CSF)候補を洗い出し、CSFを仮置きする

6.4th Step CSFを確定し、KPI原案を作成する

7.メンバーに伝えるコツ

8.セルフチェック

9.KPIマネジメントの事例

10.よくある質問とその回答

 

本書の前半では、「なぜKPIが機能しなくなるのか」という、よくある誤解が丁寧に解きほぐされます。KPIが失敗する理由は、数字の問題ではなく、人と組織の問題だと腑に落ちます。主なポイントは以下の通りです。

◆ KPIは「管理のための数字」ではない

◆ 上から押し付けたKPIは、必ず形骸化する

◆ 目標とKPIが混同されると、現場は迷走する

◆ KPIは「腹落ち」して初めて意味を持つ

◆ 成果が出ない原因は、設計より導入プロセスにある

 

この本の中盤では、本書の核となる「4ステップ」が具体的に示されます。特徴的なのは、いきなりKPIを作らないこと。まず “仲良くなる” ところから始まります。主なポイントは次の通り。

◆ 最初に必要なのは「理解」と「共通言語」づくり

◆ Goal・KGI・CSFを家族構成で整理する発想

◆ CSFを仮置きすることで、議論が前に進む

◆ 正解を急がず、合意形成を重視する

◆ KPI作成は、プロジェクトの「結果」である

 

本書の後半では、KPIを現場に伝え、運用し、定着させるためのコツと事例が豊富に紹介されます。ここが、実務家にとって最も価値の高いパートです。主なポイントは以下の通りです。

◆ KPIは「説明」ではなく「対話」で伝える

◆ 数字を見て叱る文化が、KPIを壊す

◆ セルフチェックで “形骸化の兆し” に気づく

◆ 業種別事例が、自社への応用を助ける

◆ 「よくある質問」への回答が、導入時の不安を消す

 

KPIは、組織を縛る鎖にもなれば、組織を自律自転させる羅針盤にもなります。その分かれ道は、「どう作るか」ではなく「どう関わり、どう運用するか」にあります。

KPIを導入したが成果が出ていない経営者・管理職、これから全社導入を考えている方にとって、本書は “最短距離の実践ガイド” となる一冊です。

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では、今日もハッピーな1日を!【3943日目】