「5年後は読めないが20年後は見通せる」「メガトレンドを追えば、10年後、20年後の世の中がどうなっているのかを描き出すことは可能です。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1966年富山県生まれ、早稲田大学法学部卒業、国内・外資大手投資運用会社でファンドマネージャーを歴任後、2003年レオス・キャピタルワークス創業、主に日本の成長企業に投資する「ひふみ投信」シリーズを運用しているレオス・キャピタルワークス株式会社代表取締役会長兼社長・最高投資責任者の藤野英人さんが書いた、こちらの書籍です。
藤野英人『おいしいニッポン 投資のプロが読む2040年のビジネス』(日本経済新聞出版)
この本は、著者が2040年に向けて日本のメガトレンドをどう捉えているのか、そして「20年後の日本」を幸せに生きるために投資家・起業家として具体的に今どのような行動を起こしているのかを伝えている書です。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.はじめに 「おいしいブッポン」を味わうために
2.テクノロジーを社会実装できる企業は伸びる
3.さらに進化するアフターコロナの「暮らし方✕働き方」
4.ダイバーシティは成長の必須要件になる
5.独自の魅力が光る「地方」が増える
6.「穴を見つけて穴を埋める」。成長企業は絶えず生まれ続ける
7.特別対談 千葉功太郎✕藤野英人
8.おわりに 2040年、不幸になるか、幸せになるか
この本の冒頭で著者は、旧態依然とした日本企業を見ていると、日本は「きわめてアナログな国で課題が山積しているからこそ、おいしいチャンスがゴロゴロ転がっている」と述べています。
本書の前半では、「テクノロジーを社会実装できる企業は伸びる」ことについて、次のポイントを説明しています。
◆ 社会がテクノロジーに合わせて変化しなければ、どんなテクノロジーも活用できない
◆ 社会実装する力が強い競争力になる
◆「空から得た画像データ」を誰でも使えるようにするスカイマィクス
◆「未来の課題」はシェアを取りやすい
◆ 世界のプログラミング教育を変えるしくみデザインの「スプリンギン」
テクノロジーの社会実装については、馬場隆明先生の『未来を実装する』(英治出版)を紹介していて参考になります。
この本の中盤では、「さらに進化するアフターコロナの『暮らし方✕働き方』」および「ダイバーシティは成長の必須要件になる」をテーマに解説しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 5G普及により働き方や暮らし方が変わる、コロナ禍はその変化を加速しただけ
◆ 在宅ワークへの流れでオフィスのあり方が変わる
◆ メガトレンドの中で「公私混同」がキーワードに
◆ 多拠点生活サービスで空き家問題を解消し地域を活性化するADDress(アドレス)
◆ 多拠点生活を憧れのライフスタイルとして選んでいる若者
◆ 空き家だったところに人が集まる=関係人口を増やす
◆ 空き家の増加と交通のサブスク化が「移動する住み方」を加速させる
◆ 世界人口の10%が「移動しながら生活する人」になるという予測
◆ ホテルの空室という「穴」を情報サービスで埋めるUnito(ユニット)
◆ 平日は都心のホテル暮らし、土日は自宅へ帰るUnito利用者のライフスタイルはホテルと相性がいい
◆ 完全自動運転が働き方と暮らし方を自由にする
◆ 10年後、20年後の社会を想定して「どこに住むか、どんな働き方か」を決める
◆ テクノロジーの社会実装にはダイバーシティが必須
◆ 老害とは思考がアップデートしない人
◆ ダイバーシティの本質は「個別化」
◆ 障害者のプラットフォーム「ミライロID」を社会実装するミライロ
本書の後半では、「独自の魅力が光る地方が増える」および「穴を見つけて穴を埋める。成長企業は絶えず生まれ続ける」ことについて解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 地方のことだけを考えていても地方はよくならない
◆「都会にはない魅力」に多くの人が気づき始める
◆「日本をよくする」「世界をよくする」という視点での地方創生
◆ 理想的なモデルケースのヤマガタデザイン
◆ 地方で見逃されている価値に注目する
◆ 地方創生のカギのひとつが「跡継ぎ」
◆ シフトワーカーのイメージを変えるナレッジ・マーチャントワークスの「はたLuck」
◆「働きたい時間」と「働いてほしい時間」をマッチングするアプリ「Timee」
◆ 相続の課題をテクノロジーで解決するトリニティ・テクノロジーの「スマート家族信託」
◆「自分のしたいこと」をベースに仕事を選択し、企業や転職によって仕事を変えていく時代に
◆ 未来が見えている人たちが起業家支援を加速させている
この本の巻末には、「特別対談 千葉功太郎✕藤野英人」が掲載されています。千葉功太郎さんは、起業家コミュニティ「千葉道場」を主宰し、日本版ペイパル・マフィアがDXで維新を起こす取り組みをしている人で、対談には興味深い考え方が満載です。
本書の締めくくりとして著者は、「2040年に明るい未来を迎えられるのは、これから来る未来に向けて準備をし、何らかのアクションをした人だけ」と述べています。
あなたもこの本を読んで、課題先進国ニッポンだからこそ明るい未来があることを学び、幸せな未来を切り拓いてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2648日目】