書評ブログ

『100年以上続いている会社はどこが違うのか?』

普通の老舗を研究した本とは一味違う、「自助の人生のモデルである老舗の生き方」を自らの経験から「人生の道案内」として記した書があります。

 

 

本日紹介するのは、日本経済新聞社から独立起業して社会教育家となった田中真澄さんが書いた、こちらの書です。

 

 

田中真澄『100年以上続いている会社はどこが違うのか?』(致知出版社)

 

 

この本は、超高齢社会になった日本で、「人生100年時代」を念頭に置いて、「一身一生から一身二生へ」という「生き方革命」を提唱する著者が、自らの独立人生の規範とした「日本の老舗」について論じた書です。

 

 

「一身二生の生き方」とは、サラリーマン人生を終えた後には、自分の得手や好きなことを仕事にしながら個業家(=個人事業主・起業家)としての人生を歩むという、一生涯で二つの人生を生きる、という生き方です。

 

 

サラリーマンなら誰でも一度や二度は「一国一城の主になりたい」という淡い願望を抱くものです。

 

 

かつては多くは願望のまま終わって実現が難しかったのですが、今では以下の理由で実現の可能性が高まっています。

 

 

◆ 平均寿命が伸びて、定年後の人生が長くなり、自分のやりたいことができる時間と年月が手に入る

 

◆ 個業家になるための支援を政府や地方自治体、銀行などが行うようになってきた

 

 

著者の田中さんが挙げる以上の2つの理由に加え、私は「情報通信革命による情報社会の到来によって、インターネットを軸とする小資本でのひとり起業が可能になった」ことを挙げたいと思います。

 

 

本書では、そうした環境変化の中で、個業家として成功するために、100年にわたって続く「日本の老舗」の経営に学ぶことを提唱しています。

 

 

 

本書は以下の6部構成から成っています。

 

 

1.日本は圧倒的に世界一の老舗大国

 

2.老舗が激動の時代を乗り越え生き残ることができたのはなぜか

 

3.老舗に学ぶ事業永続の秘訣

 

4.老舗の家訓から見えてくる「まともな日本人」の生き方

 

5.各地の老舗が先頭に立って挑みつつある地方再生の姿

 

6.老舗に学び36年間独立人生を歩んできた私からの提言

 

 

100年以上も事業繁栄を続けている老舗の生き方は、事業主として成功していくための規範となるものなので、個業家として成功するために、ぜひ学ぶべきだというのが著者の経験から出た提言です。

 

 

著者の田中真澄さんは、20年間サラリーマンとしてすごした後、43歳で独立して今日まで36年間、独立独歩の講演家としての人生を歩んでいます。

 

 

本書の中で紹介されているデータとして興味深いものがあります。韓国の中央銀行である韓国銀行が2008年5月にまとめた『日本企業の長寿要因及び示唆点』という報告書のデータです。

 

 

その報告書によれば、世界で200年以上の老舗企業は5,586社(計41ヶ国)あり、そのうち3,146社(全体の56%)が日本企業、ということです。

 

 

第2位のドイツ837社、第3位オランダ222社、第4位フランス196社、第5位アメリカ14社、第6位中国9社、第7位台湾7社、第8位インド3社、と続き、韓国はゼロ社ということです。

 

 

日本には創業1000年を超える企業も7社500年以上は32社100年以上は5万社(日本の調査では2.7万社)ということで、日本は世界でも桁外れのナンバーワン老舗大国なのです。

 

 

このように長い変化や風雪に耐えて、企業として存続できた要因は以下の点にあるとされています。

 

 

◆ 本業重視

 

◆ 信頼経営

 

◆ 透徹した職人精神

 

◆ 血縁を超えた後継者選び

 

◆ 保守的な企業運用

 

◆ 外国からの侵略の少なさ

 

◆ 職人を尊重する社会的雰囲気

 

 

これら長期にわたって存続する日本企業は、いずれも従業員300人未満の中小企業であり、大半がファミリービジネスという特徴があります。

 

 

これら日本の老舗企業の経営者に、「老舗の強み」を聞いたところ、「信用」が断トツの第1位に挙がります。「信用」のもとは「継続」であり、「継続は力なり」ということです。

 

 

そのほか本書には、老舗の存続を支えてきた経営理念、家訓、商人道など、さまざまな経営に関する哲学、考え方が語られています。

 

 

すべてを紹介することはできないため、興味のある方はぜひ、本書をお読みになることをお薦めします。

 

 

最後に、老舗に共通した事業永続の哲学として、本書で紹介されている3点を以下に紹介します。

 

 

1.正直・倹約

 

2.勤勉

 

3.陰徳

 

 

さらに、「専業一筋」「感謝報恩」「伝統を守りながらも革新を図る」など、老舗の姿勢も紹介されています。

 

 

 

本書の締めくくりとして田中さんは、アメリカのジェロントロジー(老年学)研究を紹介し、「人生100年時代」を展望した生き方を提唱しています。

 

 

これが100年以上続く老舗の経営に通じるものがある、ということです。とくに健康管理専門家のDr. エリック・プラスカーさんの著書『100歳までの人生戦略』(WAVE出版)を採り上げて紹介しているのが参考になります。

 

 

 

 

この本の中でプラスカー博士は、「人生100年を前提に生きる場合、自分の得手機能に集中すること」を説いています。それは江戸時代の日本人のように、自分に頼る自助の生き方を選ぶことにほかなりません。

 

 

あなたも本書を参考にして、100年続く老舗に学ぶ人生戦略を立ててみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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