本書は1977年米国で初版が刊行されて以来、研究者、政府、経営者、ビジネススクールなどに絶大な影響を与えてきた。
著者のグリーンリーフ氏は、サーバントすなわち「奉仕」こそが、リーダーシップの本質だと説いている。自らの良心に従い、より良い世界に導くことを自身の責務と信じて行動することだ。
そうした「サーバント」としてのリーダー像を描いた本書は、混迷の現代にあって、いっそうの輝きを増している。
名著『七つの習慣』の著書スティーブン・コヴィー氏は、本書の前書きで次のように述べている。
「サーバント・リーダーシップの存在は世界的に認識され始め、注目度も上がっている。その要因になっているのが、低コストで高品質なものを求める世界経済である。しかもかつてないほどのスピードを要求されている。」
「そうした状況を長く保つためにできる唯一の方法は、人々に権限を与えて能力を高めること(=エンパワーメント)だ。こうしたエンパワーメントは、組織が息長く成功するかどうかを決める。」
著者によれば、従来のリーダーシップとサーバント・リーダーシップとの違いは、サーバント・リーダーが以下の5つのバリューを大切にする、ということだ。
1.個人を尊重する (支配するのでなく個性や価値観を尊重)
2.導く (共有できるビジョンを示し実現に導く)
3.サーブ (奉仕) する (他社への貢献)
4.人の持てる力を引き出す (才能と可能性を最大限に発揮)
5.個人の成長へとつなげる (癒すこと、学ぶこと)
つまり、「奉仕」は実行力を高めるということだ。
本書は、『学習する組織』を提唱したピーターセンゲから、「本気でリーダーシップを学びたい人が読むべき唯一の本」と絶賛されている。私も同感だ。
また、経営学の始祖とも言える P.F ドラッカーからは、「グリーンリーフは私が出会った中で最も賢い人」とまで称賛されている。
経営者並びに経営幹部、リーダーを志す全ての人に本書を読んでもらいたい。心から推薦する。