書評ブログ

ジョン・クランボルツほか『その幸運は偶然ではないんです!』(ダイヤモンド社)

ジョン・クランボルツ氏は、スタンフォード大学の教育学・心理学の教授で、アメリカ心理学会およびアメリカ科学振興協会フェローだ。キャリアカウンセリング理論の先駆者として、キャリア開発評価行動科学的カウンセリングなどの関する著書が多数ある。

 

 

本書は、数少ない成功者を採り上げてキャリア開発を論じたものではなく、ごく 「普通の人たち」が日常生活で遭遇するチャンスをどうものにして、自分の成功物語を構築していけるのかをめざした書だ。

 

 

クランボルツ氏の提唱する考え方は 「ハップンスタンス・アプローチ」 (= 偶然を活用してチャンスをつかむ)と呼ばれ、グローバル経済における社会環境変化が激しく予測困難な現代において、極めて有効かつ理に適ったキャリア開発手法だと思う。

 

 

本書を通して学べるレッスンは以下の項目に整理することができる。

 

 

1.将来何になるか、決める必要はない、常に目と心をオープンにしよう

 

2.想定外の出来事があなたのキャリアに影響を及ぼすことは避けられない、いつでも利用できるように注意しよう

 

3.現実は、あなたが考える以上の選択肢を提供している、夢を見つつ、しっかり目を開けておこう

 

4.いろいろな活動に参加して、好きなこと・嫌いなことを発見する、積極的に取り組んでベストを尽くそう

 

5.間違いを犯し、失敗を経験しよう、重要な学びの経験となり、予想以上によい結果に結びつく

 

6.どんな経験も学びへの道

 

7.仕事以外でも満足感を得られる活動に携わる

 

8.内面的な障害を克服するために、新しい考えや経験にオープンであり続ける

 

 

クランボルツ氏の理論は、普通の人がキャリア開発を行う際に、広く活用できる普遍的な法則であり、バックボーンとなる考え方だ。本署のタイトルにある通り、「幸運は偶然ではない (= Luck is no accident )」 ということだ。

 

 

そういう意味で、「プランド・ハップンスタンス・セオリー (= Planned Happenstance Theory ) と呼ぶのが相応しいだろう。キャリア開発に悩む、全ての普通の人々に、人生を変える書として、本書を心から推薦したい。