西村晃氏は早稲田大学卒業後、ＮＨＫにアナウンサーとして入局。その後、テレビ東京の人気経済番組「ワールド・ビジネス・サテライト」（ＷＢＳ）で小谷真生子キャスターとコンビを組んで番組人気を盛り上げた。
西村氏の斬新な切り口からの現場取材やレポートは多くの反響を呼び、その後のＷＢＳ躍進の立役者でもある。西村氏はとにかく消費の現場に強い。小売業の分析やマーケティングでは第一人者のひとりだろう。
本書は、ＧＳ（ゴールデン・シクスティーズ＝黄金の６０歳代）、いわゆる「団塊の世代」の消費に着目した良書だ。今の６０歳代は現役やラインの第一線を退いた人でも、昔の６０歳代と違って体力もあり、消費意欲も旺盛だ。
彼らのニーズを掴めば、その購買力の大きさから大ヒット商品も次々生まれる。これまでの消費トレンドやマーケティング手法では図り得ないニーズや潜在力を秘めているのだ。
西村氏は、私がマスコミを目指していた学生時代に、目標として仰いでいた先輩でもあり、切れ味鋭い洞察力と斬新な発想力・構想力には敬意を表している。今から１６年前の１９９７年に書かれた著書『ルート１６の法則』（双葉社）は、今でも名著として読み継がれている。
国道１６号線の東京郊外の新興住宅地に住む団塊世代と団塊ジュニアの消費観や家族論、世代論が見事に描かれていて、ほんとに面白い。
著者はその頃から一貫して、団塊世代の消費行動、生き方、考え方を追い続けている。１０年上の世代から見ているのが堺屋太一氏、１０年下の世代から見ているのが西村晃氏。私はどちらも大ファンだ。
本書および『ルート１６の法則』は社会の変化や世の中の趨勢を読むには必読の書だ。堺屋氏の著書とともにビジネスマンにぜひ薦めたい。
