藤井孝一氏は元サラリーマンで、「週末起業」を唱えて脱サラを実現して、現在は気鋭の経営コンサルタントとして活躍している。
たいへんな読書家として知られ、本書は満を持して出版だろう。文庫本の形で、手軽に読みやすいのは有難い。藤井氏はマーケティングに詳しいし、米国駐在の経験もあって視野が広い。
ビジネス選書&サマリーというメルマガを発行しており、本書はそれをもとに構想されたのだろう。読書術を学ぶには最適の書だ。
私がとくに感銘を受けたのは、読書はただ読んでインプットするだけでは効果は半減で、「アウトプット」してこそ、使える知識やスキルとなってほんとうに身につくと主張している点だ。
本が好きなビジネスマンは多いが、なかなかアウトプットまで踏み込んでいる人は少ない。ブログやメルマガで書評を書くのは最適なアウトプットだという。
そのほか、読んだ本の内容を実践する、というのが、真のアウトプットだ。本の著者に感想をメールで送付したり、著者が主催するセミナーや講演会で、実際に著者に会って会話する、という究極のアウトプットも紹介されている。
最後から二番目の章に、経営者が読んでいる書籍として、多くの「古典」が紹介されている。長く読み継がれている歴史書やドラッカーなどの経営書だ。
最終章では、著者自身が繰り返し読んでいる人生の指針となる書物が18冊挙げられている。私が名著と思う書物も数冊、入っていた。読書の魅力や効果を述べた本としては、基本をおさえたいい書籍だ。
私も読書をしない経営者やビジネスマンは、時代や社会の変化を読めないので、実績が上げられないと思っているので、本書の内容は実感としてよくわかる。
すべてのビジネスパーソンにぜひ読んで、かつ実践してもらいたい書物だ。強く薦めたい。