書評ブログ

川北義則『「一人時間」を愉しむ生き方、暮らし方』(廣済堂文庫)

川北義則氏は、1935年生まれで、慶応義塾大学経済学部を卒業後に東京スポーツ新聞社に入社し、出版部長などを歴任して独立し、執筆活動を精力的に行っている。

 

とくに中高年以降のビジネスマン定年後の生き方についての著書は数多く、それだけ読者の支持を受けているということだろう。

 

本書もそうだが、見開き2ページで完結する短編エッセイ風の語り口は読みやすく、多くの共感を呼んでいる。サラリーマンなら通勤電車の中で抵抗なく読んで時間を過ごすことができる。

 

本書は、近年の単身世帯の増加というトレンドにまさに合致したテーマで、「一人で生きる時代」の様々な知恵が紹介されている。以下の4部構成から成っている。

 

1.一人で生きる効用
2.一人で生きる心の支え
3.一人で生きる愉しみ方
4.一人で生きる知恵と勇気

 

本書が書かれたのは2009年11月だが、その後さらに少子高齢化と単身世帯の増加は勢いを増して進んでいる。そうした中で、一人で生きる覚悟や一人時間の過ごし方は重要性を増している。

 

私の心に響いた参考になる考え方を本書から拾って紹介しよう。

 

1.日常の中に非日常を作っておく
2.自分だけの 「サンクチュアリ」 を作れ
3.「いま」 を愉しむことが生活を充実させる
4.思いついたら、とにかく旅に出てみる
5.自然と暮らすと 「一人」 が愉しくなる

 

6.風がなければ自分で風を起こせ
7.夢や願望は寝ても覚めても忘れるな
8.栄養学の知識はもはや基本条件である
9.本を読む意欲はいつでも大切だ
10.ストレス解消に音楽は欠かせない

 

11.よい絵を見ると心が癒される
12.よく眠る技術を身につけよう
13.腹が立ったら 「ありがとう」 といってみる
14.海外に拠点をもつのもいいだろう
15.自分の人生にタイトルをつけてみよう

 

川北氏の言葉は、これまでの人生がバックグラウンドにあるためか、説得力があって素直に心に入ってくる。文章も読みやすく、肩の凝らない内容だ。これからの人生を充実させたい熟年世代に、ぜひ本書の一読を薦めたい。