読書をしても読んだ内容をすぐ忘れてしまうと言う人は多いそうです。そうした中で、10年経っても忘れないという「記憶に残る読書術」を提唱している方がいます。
「脳科学に裏付けられた、本当に役立つ読書とは?」という問いに答える、こちらの書を今日は紹介します。
樺沢紫苑『読んだら忘れない読書術』(サンマーク出版)
この本は、精神科医で作家の樺沢紫苑さんが、公式メルマガ15万部発行、Facebookページ「いいね」数14万人の運営がなぜ可能なのか、という秘密が分かる「珠玉の一冊」です。
年間300冊のビジネス書を読む生活を33年間続け、累計1万冊を読破した私、大杉潤の「多読法」と、殆ど共通する「読書術」が書いてあり、心からお薦めしたい書です。
私は本が好きで「読書」が生活習慣の中心になっているため、これまで数々の「読書法」「読書術」に関する書籍を読んできました。
その一部だけは、本コラム(毎日更新するブログ)の「読書術・速読&多読法」テーマに54本の書評(2015年5月6日現在)として掲載していますが、その中でも本書は、私の一押しの「読書術」に関する書です。
本書は以下の8部構成から成っています。
1.なぜ読書は必要なのか?読書によって得られる8つのこと
2.「読んだら忘れない」精神科医の読書術 3つの基本
3.「読んだら忘れない」精神科医の読書術 2つのキーワード
4.「読んだら忘れない」精神科医の読書術 超実践編
5.「読んだら忘れない」精神科医の本の選択術
6.早く安くたくさん読める究極の電子書籍読書術
7.「読んだら忘れない」精神科医の本の買い方
8.精神科医がお勧めする珠玉の31冊
本書を読んで「凄い!」と感じたのは、まず冒頭の「なぜ読書は必要なのか?」という問いかけに対する著者の答え「読書によって得られる8つのこと」の中味です。
私がもし本を書くとしたら、おそらく「読書によって得られる8つのこと」として、樺沢さんと全く同じ以下の8つを挙げるでしょう。それ程、私の意見とピッタリ同じです。
1.「情報」ではなく「結晶化された知識」が得られる <結晶化された知識~デパ地下の試食理論>
2.大幅な時間短縮が可能 <時間~時間購入理論>
3.ありとあらゆる仕事力をアップさせる、文章力がつく <仕事力~料理の鉄人理論>
4.ストレスと不安から解放される <健康~ストレス緩和理論>
5.頭が良くなる、脳は一生成長し続ける <頭が良くなる~読書脳活性化理論>
6.「運命の1冊」で人生が変わる、収入が増える <人生における変化~運命の1冊理論>
7.自己成長と考え方および行動の変化 <成長~自己成長加速理論>
8.楽しいから記憶に残り学びも大きい <喜び~読書エンタメ理論>
本書の構成における2部と3部はセットになっていて、2部の「読んだら忘れない3原則」は以下の3つです。
1.記憶に残る読書術として1週間のアウトプットと心を動かす読書
2.スキマ時間だけで効率的に月30冊読める
3.「速読」より「深読」を意識する
これら3つの原則のうち、3部で挙げている2つのキーワードは、2部における1番目と2番目の原則である「アウトプット」と「スキマ時間」の2つです。
「アウトプット」と「スキマ時間」という2つを意識して読書をする、ということが著者の樺沢さんが本書で最も伝えたかったことでしょう。
実は、この2つが私の「多読法」と全く同じです。私の読書時間で最も多いのが、出張の移動時間です。具体的には飛行機の中や空港のラウンジ、新幹線の車中です。
バスの中だけは本を読むと乗り物酔いをするので、私は睡眠時間にあてています。それ以外では、スターバックスなどのカフェでコーヒーを飲みながらの読書が非常に多いです。
待ち合わせや顧客訪問までの空き時間、ランチ後の休憩時間がそれに当たり、リラックスして本を読むことができ、集中力も抜群、さらに楽しくて仕方がありません。
こうしたスキマ時間の活用を、私は「ノマドワーキング」と呼んでいて、自分の「パーソナル・ブランディング」にも利用しています。今回、樺沢さんの本書を読み、心から共感しました。
4部めは、樺沢さんが実践する読書法ですが、説明は省略して6つの読書法だけ以下に紹介します。
1.目的地を把握する~パラパラ読書術
2.知りたい部分を先に読んでしまう~ワープ読書術
3.自分にとって少し難しいくらいがいい~ギリギリ読書術
4.幸福感に包まれて記憶力も高まる~ワクワク読書術
5.ワクワクする本をワクワクしている間に一気に読む~鉄は熱いうちに打て読書術
6.著者に会いに行って勉強する~百聞は一見にしかず読書術
私が、この本で最も集中して読んだのが次の5部めにある本の「選択術」に関する部分です。説明も具体的・実践的で、私が実際に行っている本の選択法と重なる部分も多く、ほんとうに自信を持つことができました。
これだけの実績を上げておられ、しかも脳科学分野に見識もある精神科医・樺沢さんが実践している本の選択術を知ることができ、しかも自分のやり方と比較できるということは、私にとって大きな収穫でした。
以下に著者による11の「本の選択術」を紹介します。
1.ホームラン級の本との出会いが圧倒的な成長を引き起こす~ホームラン読書術
2.今の自分のステージに合った本を読む~守破離読書術
3.まず「入門書」から学ぶ入門読書術
4.人が推薦する本を読む~お勧め読書術
5.ベストセラーやランキングに頼らない~自分軸読書術
6.専門書は大型書店で探す~専門書読書術
7.ネット書店のレコメンド機能やレビューを参考にする~ネット書店読書術
8.偶然の出会いを大切にする~セレンディピティ読書術
9.直感を信じて従う~直感読書術
10.1冊の本から複数の本へドンドンたどっていく~数珠つなぎ読書術
11.失敗しない4つの基準を守って本を選択する
上記最後の「失敗しない4つの基準」とは以下の4点です。
1.広く深くバランス良く読む~温泉採掘読書術
2.両輪で成長する~長所伸展・短所克服読書術
3.情報と知識の偏りをなくす~栄養バランス読書術
4.読書のポートフォリオをつくる~分散投資読書術
この後に、6部めが「電子書籍読書術」、最後の7部めが「31冊の推薦書」です。電子書籍については、私は著者とは少し違った読み方です。「Kindle Paperwhite」を私は使っています。
最後に著者が「ホームラン本」として挙げている「31冊の良書」のうち、まだ私が読んでいなくてすぐに読みたくなった本を3冊だけ以下に紹介しておきます。あとはぜひ、本書をお読みください。
ジョンJ.レイティ外『脳を鍛えるには運動しかない!最新科学でわかった脳細胞の増やし方』(NHK出版)
ショーン・エイカー『幸福優位7つの法則 仕事も人生も充実させるハーバード式最新成功理論』(徳間書店)
スティーヴン・キング『書くことについて』(小学館文庫)
本書は、私が推薦する「読書術」、「速読&多読法」の書籍の中でも、最も感銘を受けた「決定版」となる書です。成功したいビジネスパーソン、とくに起業を目指す方々に心から一読を薦めます。
大杉潤の 『年間300冊読むビジネス力アップ読書法「17の秘訣」』 を無料でダウンロードできます。ご希望の方はぜひ、こちらから、お申し込みください。本書のノウハウと共通する読書の「秘訣」が満載です。
では、今日もハッピーな1日を!