書評ブログ

吉越浩一郎 『「残業ゼロ」の仕事力』 (日本能率協会マネジメントセンター)

吉越浩一郎氏は、上智大学卒業後、メリタジャパンなどを経て1983年にトリンプ・インターナショナルに入社して代表取締役となった。以来、19年連続増収増益という驚異的な業績を上げ続けてきた。

 

まだ、世の中にワークライフバランスという言葉が無かった時代から、「早朝会議」「デッドライン仕事術」「残業ゼロ」などユニークな施策を次々に提唱して実績を挙げてきた。

 

本書は、吉越氏の代表作とも言える書で、2007年初版が多くの支持を受けたために、2011年には新装版が出版され、こちらも好評を博している。

 

本書は、これまでの吉越氏の働き方、仕事の進め方についての主張を集大成した内容になっているが、主な主張は以下の通りに整理できる。

 

1.人間の仕事のキャパシティは「能力×時間×効率」で決まる
2.能力や時間を2倍にすることは困難だが、効率だけはいくらでも上げられる
3.デッドラインを決めた仕事を次々にこなすことが仕事の効率を上げる秘訣だ
4.デッドラインは会社側の都合で設定しなければならない
5.効率を上げるには会議のあり方を変える必要があり、1案件2分で結論を出す
6.会議は判断を下すプロセスを共有する意義が大きい

 
7.会議では完璧なたたき台を準備して論理的思考で結論を出す
8.大きな問題は小さく分けて一つずつ解決していく
9.早朝会議により、部門間のコミュニケーションをよくする
10.会議を「デッドライン」を決める場とする
11.いい言葉やいい仕組みを見つけたらどんどん取り入れる
12.オリジナルにこだわる必要なんてまったくない

 
13.TTP(徹底的にパクる)
14.仕事はゲーム、勝つチャンスを与える
15.成功するまであきらめないから成功する
16.将来のリーダーを目指すのであれば、ひたすらフォロワーシップを磨く
17.仕事と人生を同一視しない

 

一つひとつの言葉が重みを持って響いてくる。全てのビジネスパーソンに仕事の指針、働き方の教科書として本書を心から推薦したい。