書評ブログ

古市憲寿『だから日本はズレている』(新潮新書)

古市憲寿氏は、1985年東京生まれの社会学者で、東京大学大学院博士課程に在籍し、慶応大学FSC研究所訪問研究員。若者の価値観や生き方を研究し、同世代の本音を代弁する若手論客としてメディアで活躍する。

 

本書は、ベストセラーとなった 『絶望の国の幸福な若者たち』 に次ぐ話題作だ本書は、日本に潜む 「ズレ」 について書いている。言い換えれば、迷走する 「おじさん」 と、それに割を食う 「若者」 の物語だ。

 

今の日本を動かしているのは、結局のところ 「おじさん」 であり、若者に社会は変えられない、と著者は言う。リーダーなんていらないし、絆ではひとつになれないし、ネットで世界は変わらないとも主張する。

 

ある意味では、きわめて現実主義的だが、著者の観察力の鋭さと時代を読み解独自の視点には学ぶべきところも多いと私は感じている。

 

本書で古市氏が主張する日本社会に向けて発するメッセージの主要な論点は以下の通りだ。

 

1.リーダーなんていらない
2.クール・ジャパンを誰も知らない
3.ポエムじゃ気には変えられない
4.テクノロジーだけで未来は来ない
5.ソーシャルに期待し過ぎるな
6.就活カーストからは逃れられない

 
7.新社会人の悪口を言うな
8.ノマドとはただの脱サラである
9.やっぱり学歴は大切だ
10.若者に社会は変えられない
11.闘わなくても革命は起こせる

 

今の日本の常識や最近のトレンドからは外れた主張も多い。逆に、著者にすれば「日本はズレている。」ということになるのだろう。

 

最後には、このままいくと「2040年の日本はこうなる。」という見通しが述べられている。

 

時代の先を読みたい人には役立つ本だ。一読を薦めたい。