副島隆彦氏は、独自の政治・経済・歴史の分析を行い、多くの著書が反響を呼んでいる。歯に衣着せぬ表現は読んでいて心地よいが、あまりの過激な見解に、批判や驚きも多い。
私は、副島氏の米国政治・経済動向の予測を関心を持って読んでいる。当たる予測も当たらない予測もあるが、その洞察力と緻密な調査・分析力は高く評価している。
そうした米国の動向を予測する元になっている情報を集約したのが本書だ。ムック形式で一般のビジネス書とは違う装丁となっているが、写真入りの権力者解説は読みごたえがある。
米国の政治・経済を動かす1%の富裕層・権力者たち。日本と違うところは、富裕層と権力者層が一体となっているところだ。日本では、財界の成功者は必ずしも表立った政治の舞台には上がらない。
一方、米国では人事交流も含めて、ホワイトハウスとウォール街は一体だ。巨額の政治献金やロビー活動は、米国政治の常識だ。近年の自由化、金融資本主義化により、その動きはますます加速している。
英国を中心とする欧州資本家と米国の巨大資本との関係や沿革も炙り出す著者の分析は興味深い。時代を予測する必要のある全てのビジネス界の人々に本書を推薦したい。