書評ブログ

佐久間治『英語の語源のはなし』(研究社出版)

佐久間治氏は、サンフランシスコ州立大学を経て、早稲田大学教育学部英文学科を卒業、旺文社ラジオ講座、ラジオたんぱ、河合塾講師などを歴任した英語史研究家だ。

 

本書は、「楽しみながらボキャブラリーが増える」 のサブタイトル通り、気軽な読み物として英語の歴史や語源を知る本として楽しむべきものだ。堅苦しい単語集や語源辞典とはまったく趣を異にする。

 

著者も書いている通り、体系的に英単語の語源を学ぶ目的で書かれたものではなく、むしろ少しでも語彙に関する知識に色付けができて記憶に残りやすくなればそれでよし、とするものだ。

 

そういう意図で書かれた書籍なので、読んでいて肩が凝らない気楽な内容になっている。「ユニオンとオニオンは実は同語源えす」 といった内容や、冒頭では 「カナリア」の語源は 「カナリア諸島」 だが、実は当初は 「鳥」 ではなくて 「犬」 だった、などの内容だ。

 

今でも、犬歯(canine tooth)や犬小屋(kennel)には、その名残りが見られる。「canary」 は当初の犬から、「canary birds」 の鳥になり、その後たんに、「canary」 となった。

 

これらの雑学知識は、広くは 「英語史」 に属する領域だろう。著者の佐久間氏によれば、英語史は学問として究めるには大き過ぎ、とは言え、無縁な学問として捨てるには面白すぎると述べている。

 

また、barrier-free は、「障害がない」 という意味だが、そこから同様のロジックで、smoke-free も 「煙が無い」 すなわち 、「禁煙」 と理解すべきだ。決して、「喫煙が自由」 という意味ではないので注意が必要だ。

 

かような、様々な単語や表現の語源や語彙を、英語の歴史から紐解いて解説しているのが本書の特徴だ。

 

英単語を、リラックスして何らかの意味づけを理解しながら学びたい英語学習者には是非薦めたい一冊だ。ぜひお試しあれ。