皆さんは「lifehacker (日本版)」というサイトを見たことがあるでしょうか?日々の生活や仕事に役立つ情報を発信するサイトです。その中で2012年9月から平日月曜から金曜までの毎日、月20日間、書評を書き続けている「プロ書評家」がいます。
1962年東京生まれのライター兼コピーライターの印南敦史さんです。そこで今日はこちらの本を紹介します。
印南敦史『プロ書評家が教える伝わる文章を書く技術』(KADOKAWA)
この本は、年間250本以上の書評を「lifehacker (日本版)」とサイトに書いている印南さんの速読をするコツと、「伝わる」文章を書く技術について述べられています。
まず、印南さんが何故、1日1冊というスピードで本を読み続けられるのか、という疑問についてです。もともと印南さんは本を読むのが遅いタイプだったと言います。
しかし、この書評を毎日書くことになって、「読み方」が変わったと言います。「本は別に隅から隅まで読まなくても内容は把握できる」ことが、試行錯誤の中で分かってきたということです。
私は土日も含めて毎日一冊の書評を専門家コラムに書いていますが、やはり本を読むスピードは書評コラムを毎日書くようになってから大きく変わりました。
著者の印南さんと同じように、私も「まえがき」や「目次」を最初に読み、本の全体操を把握することに力を入れています。また印南さんは「きちんと読み込むべき本」と、「斜め読み(流し読み)が可能な本」を瞬時に選別しているそうです。
印南さんによれば、きちんと「精読すべき本」は例えば、以下のような本です。
1.きちんと読み込まないと、内容が把握できないもの
2.引用できる(仕事で使える)部分が随所にちりばめられたもの
3.単純に「おもしろい」、「読みたい」と感じたもの
逆に「流し読みでいい本」は以下のようなものということです。但し、これらの本は価値がないということではありません。
1.要点がまとまっているもの
2.無駄な部分が多いもの
3.利用価値のないもの
では、サイトの中で書評の文章はどのように書くべきでしょうか?まずは「誰が読むのか」という対象者(読者)をはっきりと意識することが大切です。ターゲットを見極める、ということです。
ターゲットが決まったら「目的」です。何のために、何を、どのような手段によって、誰に「伝えたい」のかを考えることです。視点を変えれば読者のイメージが様々に推測されるはずです。
「読み手は何を求めているか」という視点をつねに意識しておくことが重要でしょう。次に、実際に文章を書く時には以下の点に注意すべきだと印南さんは述べています。「伝える」ための文章表現という観点です。
1.刺さる何か、すなわち「フック」を持っていくこと
2.忙しいビジネスパーソンが効率的に情報収集できる場としてカフェの需要の高まり
3.「引用」を用いた方が具体的で短時間での情報収集に効果的
4.冷静さ・客観性・分かりやすさを重視して事実を伝える
5.つかみのインパクト
6.面白さ
7.「役立ちそうだ」と思わせること
8.説得力
さらに「読ませる文章」にするには、以下の条件が必要だと言います。
1.センス(感性)
2.文法
3.リズム(=グルーヴ)
4.簡潔さ
5.削ぐ力
本書の最後には、著者の印南さんと「 lifehacker (日本版)」の編集長・米田智彦さんとの対談が収録されています。対談の中で印南さんは「良い文章を書くにはたくさんの本を読むことが大切」と述べています。
やはり著者も、よい文章は「多読」から生まれる、という私の信念とも共通する考え方でした。私は過去に読んだ本も含めて毎日、一冊の本をコラムで紹介していますが、印南さんは最近時3ヶ月以内に出版された新刊書の書評を平日の毎日、出しています。
同じように本を読み、書くことを続けている仲間として、印南さんには共感するものがあります。「伝わる」文章について、皆さんもこの本を読んで改めて考えてみませんか。
では、今日もハッピーな1日を!