ちきりんさんは社会派ブロガーで、独特の視点からの情報発信は多くの若者の支持を受けて、ブログ 「Chikirin の日記」 は月間150万~200万PVのアクセスを集めている。
本書は、電子書籍 Kindle にて出版された 『「Chikirin の日記」の育て方』 の改訂版として加筆・修正されたものだ。著者のちきりんさんは、2005年からブログ 「Chikirin の日記」 を書き始め、2008年にブレイクして一気に人気ブログとなった。
本書は、10年間にわたるブログの運営記を 「裏側」 として記し、さらに後半では、10年分のブログの中から選んだベスト・エントリ集を 「表側」 として掲載したものだ。
本書前半部分の運営記では、著者がどうやってブログを育ててきたのか、この10年間に何が起こり、それぞれの場面においてどんな判断をしてきたのか、これまで殆ど開示してこなかったブログ運営の舞台裏が説明されている。
また本書後半部分の 「表を読む編」 は、過去10年間に著者が書いてきた総数1500のブログ・エントリの中から、アクセス数やネット上で話題になった度合い(フェイスブックやツイッターなどで共有された回数)などを元に、「このエントリを読んでもらえば 『Chikirin の日記』 がどんなブログなのか、そして著者が何を考えているのか、深く理解してもらえるものを選んだ、という。
つまり本書は、ブログの表舞台にあたるベストエントリと、そのブログを生み出した舞台裏である運営記を一冊にまとめたもので、文字通り一冊で 「ちきりんブログの裏も表も理解できる」 作りになっている。
本書の構成、まず前半部分の 「裏を知る」 編は、「Chikirinの日記」の育て方で、以下の通りだ。
1.日記帳からブログへ
2.ブログ開始にあたって
3.ネット上での個人情報開示
4.初期のブログ
5.最初の転換点 : ネットの有名人へ
6.第二の転換点 : ネットの外へ
7.意識的なブログ運営の始まり
8.ブランディングのために
9.メディア価値を高めるために
10.自分のメディアを作るための5か条
11.読者と向き合う視点
12.つながる危険と可能性
13.ここまで大きくなりました!
14.自分のためのブログ活動
15.ちきりんブログ成功の理由
とくに、ブログを自分メディアと位置づけ、価値観が似通った人々を集めて自分の考え方を発信する 「自分メディア」 として価値を挙げていくことに著者は最も力を注いでいる。
ブログのアフィリエイト収入は年間500万円で、これは将来的に報酬が下がっていくので興味はないと断言している。ちきりんさんは、これと書籍の印税収入で生活しているとのことだ。
本書の後半部分、「表を読む」 編は、「ベストエントリ集」 だが、構成は以下の6分野だ。
1.GROWTH
2.CAREEA
3.RELATION
4.EDUCATION
5.POLITICS
6.BUSINESS
無名の会社員だった著者が、10年間のブログ運営で、ここまで影響力を拡大できた最大の理由は、ブログを 「自分メディア」 と位置づけ、自分の考え方を情報発信していくツールとして、質を重視してきたからだろう。
起業を目指して、専門家コラムとしてのブログを書いていく人には本書はバイブルとして、大いに参考になる。私自身もブログの運営方法や、分かりやすく歯切れの良い文章を、ブログ記事の手本として、参考にさせていただいている。
ブログによる情報発信やパーソナル・ブランディングを行う人すべてに心から本書を推薦したい。