超高齢社会を迎えているが、「年を重ねても自立した老人になる方法を知らない人間が増えている。」と警鐘を鳴らしている本があります。
本日紹介したいのは、作家で、日本財団会長を務めた後、日本郵政の社外取締役にも就任した曽野綾子さんが書いたこちらの書です。
曽野綾子『老いの才覚』(ベスト新書)
この本は、「年の取り方を知らないわがままな老人が増えていることこそが大問題だ。」と厳しく指摘している書です。
著者の曽野綾子さん自身が高齢者の世代に入っているので、説得力はあるものの、かなり老人には手厳しい主張を展開しています。
著者によれば、自立していない老人の問題は、子育ての仕方が分からない若い夫婦や、引きこもりの子供、フリーターなどの問題より大きな問題だとしています。
本書によれば、自立した老人になるためには、「老いの才覚」(=老いる力)を持つことが必要で、それは以下の7つの力だ、としています。(本書もその「7つの力」を順に説明する構成になっています。)
1.「自立」と「自律」の力
2.死ぬまで働く力
3.夫婦・子供と付き合う力
4.お金に困らない力
5.孤独と付き合い、人生を面白がる力
6.老い、病気、死と馴れ親しむ力
7.神さまの視点を持つ力
本書では、上記の「7つの力」を説明する前に、「なぜ老人は才覚を失ってしまったのか」について論じていて、戦後の厳しい環境を生き抜いてきた時代と、何不自由ない暮らしとなった現代との差を挙げています。
また、日教組を中心とする「権利意識」を前面に出した教育思想を挙げてもいますが、これについては様々な意見があることでしょう。
もうひとつ指摘として、「老人の使う言葉が貧困になった」ことを挙げています。その原因のひとつが「読書をしなくなった」ことだと著者は言います。
確かに本を読むことは、語彙を広げ、また多様な考え方を吸収することになり、人間の考え方に大きな影響を及ぼすことは論を待たないでしょう。
本書の最後では、「信仰」について触れています。曽野さんによれば、「信仰を持つと価値判断が一方的にならない」と言います。
一見、反対のように感じますが、神が存在していることによって、物事を複眼で見ることができるようになる、ということです。
私たちは始終、誤解されていて、人の評価と自分の思いは絶えず違う。でも、神があれば、誤解されっ放しでもいい。神だけが、私が何をしたか、本当のことを知っている。
いちばん怖いのは世間(の評価)ではなく、自分の内心とほんとうにことを知っている「神」だけだ、ということです。神の視点があって、初めて人間世界の全体像を理解できる、というのが著者の主張です。
自分の軸をブラさずに、生涯現役の人生設計を貫く著者の強さが、本書を読めばよく伝わってきます。あなたも本書から、自分の人生設計を貫く軸を学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を