40歳を過ぎて心が揺れ始めた会社員に対して、「組織べったりでもない、独立起業でもない。第三の道があるはずだ!」と説く本が出ました。
本日紹介するのは、大手生命保険会社を定年退職したばかりの楠木新さんが書いた、こちらの新刊新書です。
楠木新『「こころの定年」を乗り越えろ-40歳からの「複業」のススメ』(朝日新書)
この本は、会社員としての入社から定年退職までの期間を、「前半と後半の二つに分けて考える」必要があることを提唱しています。
前半は、仕事仲間や顧客に役立つ自分をどう作り上げていくかという課題があります。これに対して後半は、自分自身が老いることや死ぬことも視野に入れて、組織との距離感をどう測るかがポイントになります。
前半戦は、周囲の仲間と一緒に頑張ることによって乗り切ることができますが、後半戦は、老いや死の形は各人それそれ異なるので孤独な作業になります。
その前半と後半の分岐点が「40歳」という年齢だと著者は言います。この年齢で、戸惑う人が多いのは、会社の仕組みだけの問題ではなく、会社人生の構造といったものにも関わっている、ということです。
会社組織に適応している人でも、40歳を超えて揺れ始めることが多い現象を、著者は「こころの定年」と名づけ、以下の3つのように「組織で働く意味」に悩む状態になる、ということです。
◆ 今やっていることが、誰の役に立っているのか分からない
◆ 成長している実感が得られない
◆ このまま時間が流れていっていいのだろうか
会社人生の前半戦と後半戦の切り替えの時期が、この40歳を過ぎたあたりにやってくる。40歳というのは、会社生活の折り返し地点であると同時に、人生80年の中間地点でもあります。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.なぜ40歳から揺れ始めるのか
2.自分と会社の関係を見直す
3.「こころの定年」の4つのパターン
4.会社員は、直接社会とつながっていない
5.挫折や不遇の体験の中にヒントがある
6.どう乗り越える「こころの定年」
7.40歳からの「複業」のススメ
本書は、私の提唱する「50歳からの定年後人生設計」と、きわめてよく似たコンセプトと解決策の提案をしています。
そういう意味で、ほんとうに深い感銘を受けました。私が考えているよりはさらに早い時期の「40歳」というタイミングも、確かにその方がしっかりと準備できるかも知れません。
また、「こころの定年」の4つのパターンも参考になりました。以下の4パターンです。
1.メンタル不調を伴うタイプ
2.満たされない思いを抱えるタイプ
3.転職や独立を志向するタイプ
4.昇進ができずに立ち往生しているタイプ
私は間違いなく3番目の「転職や独立を志向するタイプ」でしょう。これらタイプごとに、個人個人の状況はまちまちですが、共通しているのは、40歳を過ぎたあたりで、「組織で働くことに行き詰まりや限界を感じている」ということです。
本書の最後で著者は、「40歳からの複業」を勧めています。「副業」ではなく、本業を複数持つという「複業」です。
ドラッカーのいう「パラレルキャリア(=第二の仕事を持つこと)」です。日本語で言う「二足のわらじ」という表現が近いでしょう。
著者の楠木さんは、50歳から10年間を、会社員(大手生命保険会社の一般社員)とフリーランス(執筆業)の二つの働き方に取り組んできました。どちらも「本業」で「複業」ということです。
それからもう一つ、「芸名」を持つことを勧めています。著者の場合は「楠木 新」というペンネームです。「もう一人の自分」を創るために「芸名」を名乗ることを提唱しています。
あなたも本書を参考に、40歳を転機とした「こころの定年」を乗り越えるために、「複業」に挑戦してみてはいかがでしょうか。
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では、今日もハッピーな1日を!