戸田充広氏は大手旅行代理店で12年間勤務した後、メキシコ雑貨輸入業で独立するも失敗して廃業した。その後、ネット販売に活路を見出し、メキシコ雑貨に続いて、手作りスペイン語教材のネット販売でブレイクした。
好きなことを仕事にするから成功するという信念のもと、著者はネット販売を続け、蓄積したノウハウを活用して、趣味起業コンサルタントとして活動している。趣味起業のパイオニアとして300名以上の企業を支援した実績を持つ。
また、戸田氏は全日本趣味起業協会も設立して、その運営にも力を入れている。今後、定年退職後の高齢者が、生きがいと収入を得る王道として、趣味起業のニーズはどんどん高まっていくに違いない。
本書には、数多くの戸田氏の弟子たちが、様々な分野の趣味起業で成功した事例が紹介されている。共通するのは、趣味を極めてブログにして情報発信を継続して行い、徐々にファンを増やしていくという、地道な活動だ。
好きなことだから続けられるし、痒いところにも手が届くサービスが可能になるところがミソだ。要するに、ユーザーの立場に立って、事業が展開できるということだ。
趣味のレベルについて、著者は、必ずしも上級やプロレベルである必要はないという。何故かと言えば、世の中には上級者よりも初心者、いわゆるビギナーの人数の方が圧倒的に多くて、そういう人がネットで趣味の上達法を検索して情報収集をしているからだ。
ビギナーからちょっと上達した中級前のレベルの人が書いたブログの方が、初心者がほんとうに知りたい情報が書いてあるし、親近感も持ってもらえる。ネット上で交流が始まれば、ファンにもなってもらえるのだ。
著者のスペイン語教材も決してプロレベルではなかった、という。プロのスペイン語の先生は意外と基礎的な情報は発信しないし、初心者には敷居が高く感じてしまうのだ。
戸田氏は、ビギナーの気持ちやニーズが手に取るようにわかるし、そこへサービスを届けてヒットしたらしい。好きなことだからブログを書き続けることも苦にならないし、創意工夫にも力が入る。
ネット上のブログ読者は、全国に広がっているし、英語力があれば世界に発信することも可能だ。本書を読んで初めて気が付いたが、すべての人に好きな趣味にしたいことはあるし、起業のネタを持っているということだ。
本格的な高齢社会に突入する日本では、IT革命がもたらした趣味起業の可能性は無限に広がりそうだ。ぜひ、すべての起業をめざす人々に読んでほしい良書だ。