超多忙だからこそ知っている、仕事を倍速で進める「思考」と「習慣」を紹介する書が出版されました。本日紹介するのは、世界のトップリーダー1000人をインタビューした経済キャスター・谷本有香さんが書いた、こちらの新刊書です。
谷本有香『世界トップリーダー1000人が実践する時間術』(KADOKAWA)
この本は、世界トップリーダー1000人に接してきた著者が、「分刻み、秒刻みのスケジュールをこなしているいるはずなのに、少しもあくせくしていないことを不思議に思った」ことから生まれました。
「どうすればあのスケジュールを鷹揚な態度でこなしていけるのだろう?」
「少しでも彼らのテクニックを学んで、自分の生活に生かしたい。」
著者の谷本さんが、「自分のためにはじめた情報収集」が、本書に結実しました。
「いつも仕事に追われていた」という当時の著者が、世界トップリーダーに会うたびに観察し、ときにはその秘訣を教えてもらう中で、本書のエッセンスが出来上がっています。
そういう意味でこの本は、各分野で世界トップのパフォーマンスを上げているトップリーダーたちの「時間に対する考え方」、「時間に対するスタンス」、「時間に対する意識」が凝縮された形で記されています。
本書の「結論」は、冒頭に出てきます。
Time is on my side. = 時間は常に私の味方だ
世界を舞台に活躍する「トップリーダー」には共通点があり、それは「時間」という概念についての考え方だ、と著者は言います。
誰よりも忙しく働き、誰よりも「会いたい」と求められ、誰よりも「学びたい」という好奇心を持ち続けている世界のトップリーダーたちは、「人生を通しての時間の大切さ」を痛感している、というのです。
そして、「自分の時間にどれほど価値があるか」を知っています。自分に自信があるからこそ、世界にとって重要な自分の時間には、大きな価値がある、できるだけ有意義に使わなくてはいけない、という使命感がある、ということです。
これを著者は、「自己重要感」と呼んでいて、それがトップリーダーの価値観を支えている、と言います。「自分の時間の価値の高さ」を感じられる人こそ、トップリーダーなのです。
「過去の努力」とその結果得られた「目覚ましい成果や実績」が、彼らの「自己重要感」を支えています、という著者の見方に私もまったく同感です。
したがって、彼らの「時間に対するスタンス」は驚くほど似ていて、「Time is Money = 時は金なり」を超えていて、「Time is on my side. = 時間は常に私の味方だ」、ということです。「時間を支配するのは自分だ」と考えているのです。
こうした世界トップリーダー1000人に共通する「時間術」を、本書では以下の4部構成にて、具体的に事例を挙げながら解説しています。
1.世界トップリーダーは、1分を60秒、1時間を60分、人生を30000日と考える
2.世界トップリーダーが支配する、時間に関する3つの法則
3.世界トップリーダーが実践する、「時間を味方」につける7つの方法
4.世界トップリーダーが教える、「スピードアップ」する6つの時間術
本書の中で著者は、「タイムコンシャス」という言葉も使っています。「タイムコンシャス」とは、時間に対する意識が高い、鋭い「時間感覚」を持つ人のことを表す造語です。
「タイムコンシャス」(=時間に対する意識)のスキルを磨いた人ほど、仕事の成果をすぐに上げていきます。
私が意識している言葉で言えば、「人生が有限である」ことをつねに意識しているかどうか、ということです。
本書を読み終えたときに、3つのことがすぐに頭に浮かんできました。
一つは、元マッキンゼー日本支社長で経営コンサルタントの大前研一さんが言っている次の言葉です。
人間が変わる方法は3つしかない。
1.時間配分を変える
2.住む場所を変える
3.付きあう人を変える
この要素でしか人間は変わらない。そして、時間、場所、友人の中で一つだけ選ぶとしたら、「時間配分」を変えることがもっとも効果的なのだ。
これは、ビジネス雑誌 『プレジデント』 が何度か特集した「時間管理」について出た記事を再編集してまとめた『時間とムダの科学』(プレジデント社)に出てくる言葉で、様々な書籍で引用されています。2014年8月21日付ブログ記事で紹介しています。
出版は2005年8月と10年前のものですが、現在も日本で活躍する経営者15名の時間管理法はとても参考になります。
大前研一さんの「時間管理」に対する考え方を、私もそのまま活用させてもらっています。
「時間配分」こそ人生そのものだ、ということです。
二つめは、私が人生の師として仰ぐ、作家の外山滋比古さんがいくつかの著書で紹介している、次のイギリスの諺です。著書の『思考の整理学』(ちくま文庫)が東大生はじめ一流大学の学生から絶大な支持を集めた作家です。
Habit is a second nature. = 習慣は第二の天性なり
日々の習慣による積み重ねだけが、天賦の才能を凌ぐことができる、という意味です。それだけ毎日の習慣の力は大きく、それは人生を決めるものだ、と外山さんは言います。
2015年3月6日付ブログ記事で、以下の外山さんの著書を紹介しています。
外山滋比古『50代から始める知的生活術-人生二毛作の生き方』(だいわ文庫)
90歳を超えた現在も、毎日の散歩や料理を欠かさず、さらに図書館での執筆活動を通して、「知の創造」を続けておられます。
「日々の時間をどのように使うか」という毎日の生活習慣こそが人生を決める、という教えだと私は解釈しています。
三つめは、コピーライター・ひすい こたろう さんが書いた次の本です。2014年9月6日付ブログ記事で紹介しました。
ひすいこたろう『あした死ぬかもよ?』(ディスカヴァー21)
あまり説明の必要はないかも知れません。「人生の有限性」を知っている人と知らない人の差が、成功できる人とできない人の差だと、言い切っています。
それは、志があるかないかの差となって表れ、そして努力するかしないかの差になっていく、ということです。
この本に出てくる次のアンケートを知って、私の「時間配分」に対する考え方は大きく変わりました。それは、米国のある州で、90歳以上のご老人に聞いたものです。
「90年の人生を振り返って唯一後悔していることはなんですか?」
この質問に対して、何と90%の人が同じ答えでした。
「もっと冒険しておけばよかった」
死を意識して生きる、人生は有限であるという、しっかりとした死生観を持って生きることはほんとうに大切だ、とこの本では述べています。
鎌倉時代に曹洞宗を開祖した道元が禅僧として様々な相談事に乗った事例なども紹介されています。興味ある方はぜひお読みください。
父も祖父も42歳で亡くしたことから自らの人生も42年間と考えて生きてきた結果、短期間に大きな成果を残し続け、日本人としては異例の生え抜きでネスレ日本のトップにまで上り詰めた高岡浩三さんのことも思い出されました。
また、私の生き方に影響を与えた慶應義塾大学大学院准教授として行ったキム・ゼミ最終講義をまとめた『媚びない人生』(ダイヤモンド社)で有名になったジョン・キムさんの次の著書も思い出しました。
ジョン・キム『時間に支配されない人生』(幻冬舎)
「時間術」や「時間に対する考え方」は、私が人生のテーマとして追い続けてきたものでしたので、谷本有香さんの『世界トップリーダー1000人が実践する時間術』(KADOKAWA)からは、「大きな知的刺激」を受けました。
これまで様々な書籍から学んできた「時間に対する意識」がひとつに繋がった思いがしています。谷本さんは、ジャーナリストでもあるので、「言葉に勢いがある」というのも、文章を読んでいて心動かされる理由ではないかと思います。
あなたにも、本書を読むことで、「人生のゴールのために今この時間をどう使うか」と、自分の時間の使い方についてワクワクしながら考え始めてみませんか。
ぜひ本書の一読をお薦めします。「あなたの人生」が変わるかも知れません。
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では、今日もハッピーな1日を!