ドキュメンタリー『定年前起業への道-57歳からの挑戦!』の第41回は、「50歳からの知的生活習慣」の「追加3」です。
「50歳からの知的生活習慣」シリーズも追加3回を含めて7回の最終回になりました。やはり真打ちは、渡部昇一さんでしょう。
≪ 本読みの達人による知的読書のすすめ ≫
渡部昇一さんは、名著『知的生活の方法』(講談社現代新書)で、「知的生活」という概念を日本に定着させた功労者です。
本日はこれよりずっと後に書かれネット時代の「知的読書」を論じた、こちらの本を紹介していきます。
渡部昇一『楽しい読書生活』(ビジネス社)
この本は、付録を入れて以下の6部構成から成っています。
1.読書のすすめ (ネット時代の読書・読書の感激)
2.読書のコツ (読書の習慣・本は買うべし・本の品定め・愛読書)
3.読書の技術 (読書メモ・目次・難解な本・速読)
4.読書の周辺 (読書と人間・経験・時代・発見・注釈書・辞書)
5.読書各論 (古典・小説・詩・教養書・洋書)
6.無人島へ持って行く十冊
まず本書の冒頭で著者は、読書とインターネットの関係を以下のように言っています。
「グレープフルーツを食べてビタミンCを摂るのと、サプリメントでビタミンCを摂ることの差が、“ 読書 ” と “ インターネット情報 ” の差に相当するに違いない。」
栄養はすべてサプリメントから摂れることはわかっています。しかし私たちはやっぱり食べ物を食べます。それはなぜかといえば、「おいしいから」というのがいちばんの理由でしょう。
それと同じように、情報だけならインターネットで十分なのに本を読むというのは、読書にはインターネットから得る情報とは別の要素があるからでしょう。
インターネットよりもっと豊かな「何か」が読書という体験には隠されているにちがいありません。
≪ 読書は「精神の食べ物」である ≫
渡部さんは言います。本には持ったときの重さがあります。ズラッと並べれば壮観です。装丁が素晴らしければ、それを眺める楽しみもあります。古い本であれば、ある時代を感じさせてくれます。
本にはそれぞれ「味」があるわけです。カビっぽい匂いがいいことだってある。前に読んだ人が引いたアンダーラインを見ているとなにかほほえましい感じがしてくることもあります・・・・。
そういうことを全部ふくめて一冊の書物はわれわれ愛書家に総合的な喜びを与えてくれます。単に情報を与えてくれるだけでなく、目の前に「本の世界」という小宇宙(ミクロコスモス)を繰り広げてみせてくれます。
その意味でいえば、本というのは「精神の食べ物」である。インターネット情報はサプリメントに過ぎない。
この言葉は深い意味を持っている、と私は感じています。「読書」の持つ楽しみ、喜び、味わい、奥深さなど、その魅力を知る人には、これ以上の説明は不要でしょう。
≪ 読書の習慣をつけるには ≫
このあと、渡部さんは「読書の習慣」をつけるにはどうすればよいか、を書いています。以下の方法を薦めています。
1.子供のとき、親が本を読んであげる
2.優れた指導者(恩師)との出会い
3.本を買うこと (身銭を切る効用)
4.古本屋通い
5.本選びは「己に忠実」に
6.愛読書を持つ
渡部さんは、繰り返し読む本を「座右の書」と呼んでいて、「もし座右の書をもっていないようなら、いくらたくさん本を読んでいても、その人を “ 読書家 ” と呼ぶことはできません。」とまで、言っています。
それほど、「座右の書」として、繰り返し愛読する書を持つべきだ、ということです。厳密に定義するなら、読書家とはやはり「生涯の愛読書を持っている人」ということになります。
≪ 渡部昇一さんの「座右の書」 ≫
渡部昇一さんは、ご自身の「座右の書」として、以下の4冊を挙げています。
1.幸田露伴『努力論』(岩波文庫)
2.ヒルティ『幸福論』(岩波文庫)
3.渋沢栄一『実験論語』(『論語講義』講談社学術文庫)
4.アレキシス・カレル『人間-この未知なるもの』(三笠書房・知的生きかた文庫)
この中で、最初に挙げた幸田露伴の『努力論』は、著作権が時効にたっているため、もしKndle をお持ちであれば、無料で入手可能です。ぜひ、お薦めします。
2015年11月1日の「定年前起業」まで、あと126日です。皆さんの温かい励ましや応援をどうかよろしくお願いいたします。