ドキュメンタリー『定年前起業への道~57歳からの挑戦!』の第37回は、「50歳からの知的生活習慣」の「その4」です。
≪ 「脳」の老化は40代から始まる!≫
前回に引き続き、精神科医の和田秀樹さんの本について、内容を紹介しながら、「50歳からの知的生活習慣」について考えていきたいと思います。
まず、昨日紹介しました、和田秀樹『定年後の勉強法』について、その書評を2013年10月14日付ブログに掲載しましたので、興味ある方はこちらのリンクからどうぞ!
定年後の勉強は、「アウトプットをメインにする」というコンセプトは、まさに理にかなっていると感じました。
さて、和田さんのもう一冊の書『思考の老化をどう防ぐか』について紹介しながら、知的生活習慣をどう送るかを考えてみたいと思います。
和田秀樹さんの本業は、本人が本書で述べているところによれば、「老年精神医学」に従事する精神科医です。
著者は普段、さまざまな心の病、脳の病(認知症含む)を抱える高齢者と接していて、そうした仕事の経験と、自らも50歳を超えたということもあって、最近の関心は「老化予防」に移っている、と言います。
本書の前著とも言える『「がまん」するから老化する』(PHP新書)は、脳の老化予防(=「前頭葉」の老化予防)をテーマにしてベストセラーになりました。
それに対して、『思考の老化をどう防ぐか』においては、「脳のソフト面」での老化を考えています。
それに加えて、和田さんのもう一つの大きなテーマである、「勉強法」や「能力開発」のノウハウを加味して、「思考の老化」予防-つまり老け込んだ考え方にならない方法を採り上げています。
この本でいう「思考の老化」とは、次の3つの意味で、あなたが一般にイメージする「老化」あるいは「老化予防」とは別の意味を持っています。
1.「思考の老化」は高齢者に限ったものではなく、20代から起こり得る問題
2.社会人生活において、若いときは与えられた仕事をするので前頭葉を殆ど使わないが、年を重ねてリーダーや経営を行う立場になると、高度な前頭葉機能が求められるので、「前頭葉老化」対策は極めて重要
3.「工業社会」から「知識社会」に移行した現代では、「クリエイティビティ」や「問題発見能力」など、前頭葉機能が保たれていない人は、真っ先にリストラ候補になりかねない
以上のような理由から、和田さんは「思考の老化」をテーマとした本書は、自信の著書の中でも「自信作」と位置付けています。
この本で、やはり衝撃的なのは、「脳」の老化は40代から始まる、という事実です。創造性、ひらめき、問題発見能力、感情のコントロールなど、中高年になるほど、前頭葉機能がより求められるにもかかわらずです。
前頭葉機能のポイントは、大別すると以下の3つになると和田さんは指摘しています。
1.意欲と感情のコントロール能力
2.思考のスイッチング
3.クリエイティビティ
ここで注意しなければならないのは、成功者ほど自分の成功パターンに縛られやすい点です。著者は言います。「成功パターンに縛られて思考が硬直化します。」
また、年を取ると、次第に一つの考えに凝り固まって、新しいものごとを柔軟に受け入れられなくなります。前頭葉機能が低下してくると、「意欲と感情のコントロール能力」や「思考のスイッチング」がうまくできなくなるからです。
和田さんは、これが「熟年離婚」の原因にもなっている、と指摘しています。感情のコントロールが悪くなると、朝ちょっと言い合いになったら最後、一日機嫌が悪くなる。
喧嘩すると一週間くらい口を利かなくなる熟年夫婦は結構いる、ということです。老化によって、前頭葉にある「思考のスイッチの切り替え」が悪くなった結果、気持ちを新たにすることが難しくなるためだそうです。
≪ 思考の老化を防ぐポイントは「アウトプット」 ≫
では、どうやって「思考の老化」を防ぐか、ということですが、本書の後半に書いてあります。まず、本書の書評を2015年5月23日付ブログに掲載していますので、こちらのリンクからご覧ください。
とくに、「知的生活習慣」という観点からは、以下の原則が大切です。
1.変化をいとわない日常生活をこころがける
2.文句より対策を考える
3.「ツッコミの習慣」は最良の思考トレーニング
4.二者択一の議論や一つの答えに満足しない
5.中高年の勉強は入力の割合をいかに下げるか
とくに、「入力の割合を以下に下げるか」については、外山滋比古さんが、ベストセラー『思考の整理学』を書いた動機にもなっていると、本書で紹介されています。
和田さんが外山滋比古さんと対談する機会があった時に伺った話だそうです。
「入力の割合を下げる」とは、裏返すと、いかに「アウトプット」を増やすか、ということです。「思考の老化」を防ぐための重要なポイントは、やはり「アウトプット」なのです。
和田さんは、「前頭葉思考」によって、人生に大きな差がつく、と述べています。魅力的な新コンセプトを生みだしたり、こだわらず、生きるのを楽にしたりします。
「これまでどうだったか」よりも、「これからどうするか」を考える。「思考力」よりもさらに重要な「試行力」。
また、「失敗するかもしれない」が前頭葉を強く刺激する、と言います。そこで著者は、「小失敗を織り込んで、複数回のチャレンジを」と呼びかけています。
「定年前起業」というのは、まさに、「前頭葉機能」をフルに発揮することとなり、最高の「アンチエイジング」ではないかと思います。
ぜひ、あなたも「定年前起業」にチャレンジしてみませんか。
2015年11月1日の「定年前起業」まで、あと130日です。皆さんの温かい励ましや応援をどうかよろしくお願いいたします。