色彩は人々に豊かな感情をもたらし、さまざまなメッセージを届けてくれます。色に心を動かされ、「その色と色のイメージを第三者に伝えたい」、または「心に浮かび上がる思いや感情のニュアンスを色で表現したい」といった素直なコミュニケーション願望を抱いたことがあるはずだ、と説いている人がいます。
本日紹介するのは久野尚美さんが書いたこちらの小事典です。
久野尚美+フォルムス・色彩情報研究所『カラー&イメージ』小事典
この小事典は、簡便な色見本帳としても使える特徴を持っています。思いもよらない色の意味、イメージ、ストーリー、創造のヒントとなる情報との出会いを楽しむことができます。
本書は以下のテーマごとの6部構成となっています。
1.世界の国々にまつわる色
2.歴史・思想・宗教・神話にまつわる色
3.文芸・美術・音楽・工芸にまつわる色
4.天体・自然・気象にまつわる色
5.動植物にまつわる色
6.生活にまつわる色
上記の6部の中でさらに細かなテーマに分かれていて計56テーマから成っています。世界の国々ではヨーロッパ諸国が中心で、17ケ国・地域中の9ヶ国を占めています。
歴史等についてもヨーロッパの歴史・哲学・宗教などが中心で6テーマに分かれます。文芸等も6テーマ、天体・自然等は11テーマで、宇宙、太陽・月、海、湖・川、空気・風、大気・水などに分かれます。
動植物は動物、昆虫など6テーマ、生活は料理、お菓子、飲み物、スポーツ、学校など10テーマです。色見本は658色で構成されていて微妙な色の変化を本書では楽しむことができます。
人が色を選ぶとき、色を迎え入れる環境や人を考え、良い感じで響いてくれる色に思いを巡らします。人は、色とイメージが互いに連鎖し合う中で、同時に視角以外の感覚も一緒に感受しています。
著者の久野さんらのチームは、色彩情報データベースを開発し、様々な発信を行っています。本書はそのデータベース機能を用いて56テーマごとに658色名を抜粋しています。
実は、この本は中山マコトさんの『仕事は名刺と書類にさせなさい』(講談社+α文庫)で紹介されていたことから読みました。中山さんは著書の中(174ページ)で次のように久野尚美さんを紹介しています。
「僕が敬愛している女性に、久野尚美さんという方がいらっしゃいます。美人で聡明、日本の色彩研究者としては第一人者だと僕は思っています。」
その後で、本書『カラー&イメージ』(グラフィック社)の紹介をしています。皆さんも本書を手引きとして活用しながら、色について深く考えてみませんか。
では、今日もハッピーな1日を!