「日本は、どこで力を失い、どこから立て直すのか」― その問いに、真正面から答えようとする一冊です。
本日紹介するのは、1961年生まれ、神戸大学経営学部卒業、松下政経塾卒塾。米国連邦議会コングレッショナル・フェロー、近畿大学経済学部教授を歴任し、衆議院では文部科学委員長、議院運営委員長、自由民主党では政調会長(3期)、経済安全保障対策本部長などを務め、内閣では総務大臣、経済安全保障担当大臣を歴任した、第104代内閣総理大臣の 高市早苗 さんが編著を務めた、こちらの書籍です。
高市早苗 編『国力研究 日本列島を、強く豊かに。』(産経新聞出版)
本書は、国会議員と有識者による政策研究会「『日本のチカラ』研究会」での議論をもとに、日本が直面する国際環境の現実と、これから必要となる「総合的な国力強化」の方向性をまとめた一冊です。外交・情報・防衛・経済・技術・宇宙政策、そして人材力まで、国力を構成する要素を横断的に扱っている点が大きな特徴です。
単なる理念論ではなく、リアルな質疑応答や現場感覚に裏打ちされた議論が収録されており、「日本をどう強く、どう豊かにするのか」を具体的に考える材料が詰まっています。
本書は、以下の8部構成から成っています。
1.国際社会の現実と「総合的な国力」強化の必要性
2.外交力
3.情報力
4.防衛力
5.経済力
6.技術力
7.「国力」の全要素を包含する宇宙政策
8.「人材力」の強化に向けて
本書の前半では、国際社会の厳しい現実認識から出発し、日本が置かれている立場を冷静に見つめ直します。感情論ではなく、国家として何が不足しているのかを整理していく姿勢が印象的です。主なポイントは以下の通りです。
◆ 国際社会は「善意」では動かないという前提
◆ 中国・周辺国をどう現実的に捉えるべきか
◆ 外交における「言うべき時に言う」姿勢の重要性
◆ 情報・インテリジェンス軽視の危うさ
◆ 国力を総合で考える必要性
この本の中盤では、防衛力・経済力・情報力といった、日本の基盤を支える中核分野が掘り下げられます。とくに「経済安全保障」という視点が全体を貫いています。主なポイントは次の通りです。
◆ 自衛隊の実力と反撃能力をどう捉えるか
◆ 台湾有事と日本の現実的な役割
◆ 経済力こそが国力の土台であるという認識
◆ 高圧経済と政策統合運用の可能性
◆ 法制度整備が追いついていない現状
本書の後半では、技術力・宇宙政策・人材力といった「未来の国力」に焦点が当てられます。短期的な成果ではなく、長期視点での国家設計が語られている点が特徴です。主なポイントは以下の通りです。
◆ 明治期の「殖産興業」から学ぶ国家戦略
◆ 宇宙政策が国力全体を束ねる理由
◆ 技術と安全保障の不可分性
◆ 人材こそが国力の源泉であるという視点
◆ 教育・人材育成をどう再構築するか
本書を読んで感じるのは、「国力」とは一部の分野だけを強化しても成り立たない、という当たり前だが見落とされがちな事実です。外交、防衛、経済、技術、人材 ― それぞれが連動して初めて、国家としての強さと豊かさが生まれます。
賛否はあるにせよ、日本がこれからどの方向へ進むべきかを考えるうえで、本書は非常に良質な思考材料を提供してくれます。感情的な議論ではなく、「国家を設計する視点」を持ちたい人にこそ、手に取ってほしい一冊です。
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では、今日もハッピーな1日を!【3990日目】