「お金の使い方を見れば、その人の人生が見える。」――本書の冒頭で語られるのは、単なる節税術でも投資テクニックでもありません。それは「お金の使い方=生き方」という、ファイナンシャル・ウェルビーイングの哲学です。
本日紹介するのは、慶應義塾大学会計大学院修了、アーサー・アンダーセン等を経て、2003年会計事務所創業に参画。プライベートエクイティファンドや産業再生機構の100社を超える大企業投資先の再生案件に従事、富裕層専門の税理士として、これまで1000万枚以上の領収書を見てきた株式会社ユナイテッド・パートナーズ会計事務所パートナー・税理士/経済学修士/商学修士/MBA(豪州)の森田貴子さんが書いた、こちらの書籍です。
森田貴子『億万長者になるお金の使い方 富裕層の領収書1000万枚見てきた税理士が教える』(SBクリエイティブ)
本書は、30年にわたり起業家・投資家・創業家ファミリーなど多様な富裕層を支えてきた著者が、「長く富裕層であり続ける人」のお金の使い方を実例から抽出した “生き方の指南書” です。「お金持ちになることより、“お金持ちであり続けること”の方が難しい。」
その違いを決めるのが、“お金の使い方” なのです。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.1000万枚の領収書からわかった「本物の成功法則」
2.富裕層の支出哲学を支える「思考と習慣」
3.「継続的に学ぶ人」ほど富が拡大する
4.「健やかな心と体」こそ最大の資本
5.「つながり」という財産が人生の質を決める
6.富裕層の「資産をつくる」お金の使い方
7.富裕層に学ぶフローの支出哲学
この本の冒頭で著者は、富裕層に共通する「8つのストック支出」を次の通り挙げています。
1.価値ある体験
2.継続的な学び
3.体の健康
4.心の健康
5.家族
6.つながり
7.社会貢献
8.投資
本書の前半では、「成功者のお金の使い方」に共通する原則が明かされています。富裕層ほど「なぜそれを買うのか」を深く考え、“自分の軸” に沿ったお金の使い方をしていると強調します。主なポイントは次の通りです。
◆ 富裕層の支出には「目的」と「意図」がある――浪費ではなく“設計された消費”
◆ 「節約」よりも「お金を活かす」発想を持つ
◆ 一流の人ほど、“体験”と“学び”に惜しみなく投資する
◆ 領収書はその人の“価値観と哲学”の記録簿である
◆ 「買う前に考える時間」を楽しむのが本当の富裕層
本書の中盤では、「富裕層に共通する4つの支出分野」が紹介されます。単なる消費ではなく、次の成長・出会い・信頼・幸福へとつながる支出に変えているのです。主なポイントは次の通りです。
◆ 学びへの支出:本、講演、コーチング、MBAなど「自己成長」に惜しみなく使う
◆ 健康への支出:食、睡眠、運動、メンタルケア――「長く働ける身体」が最大の資産
◆ 人間関係への支出:人と会うための食事・旅・贈り物は “信頼の投資”
◆ 社会への支出:寄付やボランティア活動で「与える循環」をつくる
◆ そして共通するのは、「支出を“投資化”している」点。
本書の後半では、「富裕層が富を守り、増やし続ける思考法」がまとめられています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 富を“目的”ではなく“道具”として扱う
◆ 収入の増加より、支出の“意識レベル”が重要
◆ 「好きなことにお金を使う」が、「自分を成長させる」方向に向いている
◆ 時間・健康・人間関係という“見えない資産”を最優先にする
◆ 「フロー(循環)」にお金を流す人ほど、結果的に富が集まる
著者は、「お金は “止める” と淀み、“流す” と増える」と語ります。
つまり、貯めこむのではなく、“感謝と目的を伴う支出” が富の循環を生み出すのです。
本書の核心は、「富裕層とは“お金の使い方が上手な人”である」という逆説的な真理にあります。1000万枚の領収書を通じて見えたのは、“稼ぐ力”よりも、“使う哲学” が人を豊かにするという現実。
お金は、その人の生き方の鏡であり、“何に価値を見出しているか” がそのまま人生の質を決めていく――。森田氏の視点は、単なるマネー論を超えて「ウェルビーイングの経済哲学」にまで高められています。
著者のメッセージを借りれば、「お金持ちは、“お金が増える”より先に、“自分が育つ”ことを選ぶ。」だからこそ、富は続き、幸福も持続するのです。この本は、単なるお金の指南書ではなく、“自分の人生にふさわしいお金の使い方” を再設計するためのリセットボタンです。
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では、今日もハッピーな1日を!【3913日目】







