「人は、わかっていても間違え、偏った視野をもち、誤解するもの」――そんな人間の本質に迫り、正しく学び、生き抜くための知恵を授けてくれる一冊があります。
本日紹介するのは、ノースウェスタン大学心理学部でPh.D.を取得し、現在は慶應義塾大学環境情報学部教授として認知科学、言語心理学、発達心理学の研究を続け、著書『英語独習法』『学びとは何か』『ことばと思考』など数々のベストセラーを送り出してきた世界的認知科学者・今井むつみ(いまい・むつみ)さんが書いたこちらの書籍です。
今井むつみ『人生の大問題と正しく向き合うための認知心理学』(日経プレミアシリーズ)
本書は、慶應義塾大学SFCでの最終講義をもとに28年の研究と教育を凝縮した決定版であり、認知心理学が人間の「間違える性質」をどう理解し、AI時代をどう生き抜くかのヒントを与えてくれる一冊です。
本書は以下の13部構成から成っています。
1.開講 AI時代を幸せに生きるには
2.そもそも私たちは、「客観的」に世界を見ることができるのか?
3.「記憶」はあまりにも脆弱(ぜいじゃく)
4.人は基本的に「論理的な思考」が苦手である
5.「確率」よりも「感情」で考えてミスをする
6.「思考バイアスに流されている状態」は、思考しているとはいえない
7.スキーマがあって初めて、高度な思考が成り立つ
8.情報処理能力や記憶の制約が生み出した人間独自の思考スタイルとは?
9.アブダクションによって人は、知識を拡張し、因果関係を解明し、新たな知識を創造している
10.一般人と一流の違いは、アブダクションの精度にある
11.AIは記号接地しない=新しい知識・生きた知識を生み出さない
12.AIが生み出すのは、「一般人の平均値」。唯一無二のパフォーマンスを生み出せるのは、人間である「あなた」
13.「得手(えて)に帆(ほ)を揚(あ)げる」という生き方
この本の冒頭で著者は、「人は、わかっていても間違え、偏った視野をもち、誤解するもの。だからこそ、どう学び、人とつきあい、社会を生き抜いていくかを考えることが大事」と述べています。
本書の前半では、「記憶」「論理」「感情」「バイアス」といった人間認知の弱点に迫り、なぜ人は誤解や錯覚に陥るのかを解き明かしています。
◆ 人間は「客観的」に世界を見られない
◆ 記憶は驚くほど脆弱で不正確
◆ 論理的思考は苦手で感情に流されやすい
◆ 確率よりも直感で誤った判断を下しがち
◆ 思考バイアスに流されているときは考えていないのと同じ
この本の中盤では、スキーマやアブダクション(仮説推論)といった人間独自の思考スタイルを解説し、知識の拡張や創造の仕組みを明らかにしています。
◆ スキーマがあることで高度な思考が可能になる
◆ 情報処理や記憶の制約から人間独自の思考が生まれる
◆ アブダクションにより知識を拡張し因果関係を解明する
◆ 一流と一般人の差はアブダクションの精度にある
◆ 新しい知識を創造できるのは人間だけである
本書の後半では、AIとの違いを鮮明に描きながら、人間にしかできない生き方や自己実現の可能性を提示しています。
◆ AIは記号接地できず生きた知識を生み出せない
◆ AIが出すのは「平均値」にすぎない
◆ 唯一無二の価値を創造できるのは「あなた」自身
◆ 得手に帆を揚げて強みを生かすことが重要
◆ 認知科学から学び、自分らしい人生を切り拓ける
この本の締めくくりとして著者は、「得手に帆を揚げるという生き方こそが、人間の持つ力を最大に生かす道だ」と述べています。
認知心理学の知見を通じて、人間の弱さを受け入れつつ、AI時代を幸せに生き抜くための力を養える本書は、現代を生きるすべての人にとって必読の書です。
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では、今日もハッピーな1日を!【3860日目】