「介護職員の人材不足が深刻化している背景から、介護サービスを利用したくとも利用しづらくなっている。いわば『勝ち組』/『負け組』といった介護格差が顕在化しているのだ。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、1969年生まれ、淑徳大学社会福祉学部卒業、法政大学大学院修士(経済学修士、政治学博士)で、東京都北区、新宿区に勤務し、介護職、ケアマネジャー、地域包括支援センター職員として介護関連の仕事に従事、現在は淑徳大学総合福祉学部教授(社会保障論、社会福祉学)の結城康博さんが書いた、こちらの書籍です。
結城康博『介護格差』(岩波新書)
この本は、経済、医療・健康、情報、地域、親類・縁者、世代、意識の各格差の実情に光をあて、介護保険の実態や課題を余すところなく解説している書です。
本書は以下の10部構成から成っています。
1.介護は「人」との繫がり次第なのか
2.やっぱり「おカネ」次第?
3.頼れる人がいるか否かで明暗が分かれる
4.医療と健康格差
5.介護人材不足と地域間格差
6.介護は情報戦!
7.団塊ジュニア世代の介護危機
8.厳しい2024年改正介護保険
9.格差是正のための処方箋
10.「介活」で格差を乗り切ろう!
この本の冒頭で著者は、「医療技術が進歩していることもあって期間の差はあれ、介護生活を余儀なくされる人は多い。しかも、高齢者自身はもちろん、その息子や娘、孫まで、介護問題は関連してくる。」と述べています。
本書の前半では、「介護は人との繫がり次第なのか」「やっぱり おカネ次第?」および「頼れる人がいるか否かで明暗が分かれる」ついて以下のポイントを説明していま す。
◆ 年金毎月10万円層が厳しい
◆ 保険料滞納にはペナルティ
◆ 生活保護受給者は「最下位層」ではない
◆「孤独感」を抱く割合は、80歳で急増(とくに男性)
◆ 身元保証・死後事務・医療同意の3点をクリアすること
この本の中盤では、「医療と健康格差」「介護人材不足と地域間格差」および「介護は情報戦!」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ やっかいな「異食行動」と「排泄障害」
◆ 要介護認定と主治医(かかりつけ医)の重要性
◆ 医療と介護の連携が重要
◆ 深刻な介護人材不足と人材の高齢化
◆ ケアマネジャー不足も深刻に
◆ 民間介護施設相談センター(株式会社ノナエルなど)の留意点
◆ 最近の「貧困ビジネス」は変化して天涯孤独の要介護者の住まいに
◆ ユニット型個室タイプの特別養護老人ホームは高額負担のため空いている
◆ 苦情を述べることも重要(ケアマネジャーや地域包括支援センターへ相談)
本書の後半では、「団塊ジュニア世代の介護危機」「厳しい2024年改正介護保険」「格差是正のための処方箋」および「介活で格差を乗り切ろう!」ついて説明しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 年金給付額は目減りして、年金格差は拡大
◆ シングル介護、多重介護の増加
◆ 仕事と介護の両立格差
◆ 抜本改正とは程遠い2024年介護保険法改正の禍根
◆ 2027年改正が正念場
◆ ヘルパーの公務員化の変革を
◆ 新たな「療養介護福祉士」の創設で、「喀痰吸引」と「経管栄養」を可能に
◆「介護は経済政策」という発想の転換を
◆ 自分が介護を受けることを想定して備える「介活」を
この本の締めくくりとして著者は、「1日でも早く介護業界が働きやすい環境になってほしい」と述べています。
あなたも本書を読んで、「介護格差」の実態を学び、自らの介護に備える「介活」を実践していきませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3531日目】