「結婚した3組に1組が離婚する」日本、「60歳の3分の1が、人生を共にするパートナーを持っていない」日本、「男性の生涯未婚率が3割に届こうとする」日本、という日本社会のリアルを分析・解説している本があります。
本日紹介するのは、1957年生まれ、東京大学文学部卒業、東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学、現在は中央大学文学部教授(専門:家族社会学)の山田昌弘さん編著の、こちらの新刊新書です。
山田昌弘『パラサイト難婚社会』(朝日新聞出版)
この本は、「結婚・未婚・離婚」の定義をアップデートした先に、私たちはどんな人生を描き、いかなる社会を形成し、どのような国を夢見ていくのかを皆さんと共に考え、著者の研究人生の総仕上げの書です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.「結婚」とは何ですか?
2.「結婚生活」には何が要りますか?
3.「未婚」は恥ですか?
4.「離婚」は罪ですか?
5.「結婚」が人生に与えるもの
この本の冒頭で著者は、「『夫婦は他人』であることは、長らく日本社会では、言ってはいけないタブーだった」「日本の『少子化』は30年前にさかのぼる」と述べています。
本書の前半では、「結婚とは何ですか?」ついて、以下のポイントを説明しています。
◆ 結婚とはゴールではなくスタート
◆「ザ・昭和」な結婚観・家族観は非現実的な虚像
◆ 非正規雇用社会で結婚・出産の費用を賄えるだけの所得を稼げない
◆「皆婚」社会から「難婚」社会へ、そして「結婚不要社会」へ
この本の中盤では、「結婚生活には何が要りますか?」および「未婚は恥ですか?」について解説しています。主なポイントは次の通りです。
◆ 夫婦とは親密なパートナーシップとは言い切れない現実
◆ 多様化する結婚のカタチ
◆ あらゆることが個人の判断に委ねられる「個人化」の時代
◆ フキハラ(不機嫌ハラスメント)を我慢する日本人
◆ 結婚 = 愛情 + 経済
◆ 生涯未婚率が急上昇
◆ 日本社会特有の親子密着型同居スタイル
◆「晩婚」から「未婚」そして「おひとりさま」へ
◆ 非正規雇用という新しい雇用雇用形態が多くの若者の人生設計を狂わせた
◆ おひとりさま、引きこもり、パラサイトシングルによる「未婚」
◆ 格差社会の縮図となる結婚
◆ 多様な選択肢に疲弊する「個人化社会」
◆ 共依存社会の日本が大量のパラサイト・シングルそして未婚を生む
本書の後半では、「離婚は罪ですか?」および「結婚が人生に与えるもの」について考察しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 戦前は「離婚大国」だった日本
◆ 協議離婚では、経済問題が背後にある
◆ 富裕層と貧困層に二極化する離婚
◆ 離婚は「非常事態」から「人生の一イベント」に変化
◆「おひとりさま」が老後を迎える日本
◆ 結婚生活の不幸の多様性
◆「一億総中流社会」から「格差固定社会」へ
◆ 血縁の共依存がもたらす未婚社会
この本の締めくくりとして著者は、「自分の人生にコミットしてくれる相手がいることは、生きる上で大きなエネルギーになります。」と述べています。
あなたも本書を読んで、本来、個人的なものである「結婚」「未婚」「離婚」の前景に、社会的・政治的・経済的事情が複雑に絡み合っている日本の現状を理解し、「結婚生活には何が必要か」を考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【3339日目】