「人間は誰もが老いるのですが、老いとか老化ということについてはよくわからない、よく知らないというのが実感なのではないでしょうか?」と問いかけて、巷で考えられている老化や老いの俗説について、「実はそんなことはないよ」ということを伝えてくれる本があります。
本日紹介するのは、1960年大阪府生まれ、東京大学医学部卒、東京大学医学部付属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学学校国際フェローを経て、現在は精神科医、国際医療福祉大学大学院教授、川崎幸病院精神科顧問、和田秀樹こころと体のクリニック院長で、30年以上にわたり、高齢者医療の現場に携わっている和田秀樹さんが書いた、こちらの書籍です。
和田秀樹『老人入門 ー いまさら聞けない必須知識20講』(ワニブックスPLUS新書)
この本は、老いの実態を知っていただき、安心感をもたれるとともに、冷静に対策を考えることで、誤解から老いを恐れることのないようにしてもらうために書かれた書です。
本書は以下の20部構成から成っています。
1.老いは本来、幸せな時間です
2.老いについて知っておきたい基本的な3つのこと
3.歳を取るほど使わない機能の衰えがひどくなる
4.脳の萎縮と脳の機能低下は相関しない
5.頭を使う人のほうが元気で長生きする
6.歳を取るほどいろいろなことが億劫になってくる
7.暴走老人は老化現象か
8.大らかな老人と気難しい老人
9.歳を取るほど薬の害がひどくなる
10.免許は返納しなくていい
11.認知症を正しく理解すれば非案は小さくなります
12.がんとどう付き合っていけばいいのか
13.穏やかな老いを迎えるWith病気という考え方
14.老いは同世代に障碍者が増えてくるということ
15.失われた能力を嘆くより残された能力を活かそう
16.介護保険制度の利用は権利である
17.食べることに無関心になってはいけない
18.疎かにされがちな高齢者のメンタルヘルス
19.「どんな年寄りになってやろうか」と考えていい時代
20.老いといつまで闘い、いつ受け入れるか
この本の冒頭で著者は、「長年、認知症を診てきた医師の立場で言わせてもらうと、認知症というのは、だんだん進行していく病気ではありますが、軽度のうちは日常生活ではほとんどなんでもできます。もちろん、運転もできます。」と述べています。
本書の前半では、「老いは本来、幸せな時間です」「老いについて知っておきたい基本的な3つのこと」「歳を取るほど使わない機能の衰えがひどくなる」「脳の萎縮と脳の機能低下は相関しない」および「頭を使う人のほうが元気で長生きする」について、以下のポイントを説明しています。
◆ 老いの中にはたくさんの幸せな時間がある
◆ できないことが増えてきても、やらなければいけないことが減ってくる
◆ 70歳は現役世代と言ってもいいくらい元気
◆ 70歳は「老いてからの自分」に目を向ける年代
◆ 老いについて押さえておきたい基本的な知識は3つ
◆「老い」は個人差が大きい
◆「老い」はゆっくり進む(打つ手がある)
◆「老い」にはそれぞれのフェーズがある(前の10年とこれからの10年は異なる)
◆ 通勤がなくなると脚力(足の筋肉)は急降下する(10分の歩行でもなくなると急降下)
◆ 筋肉や関節は使わないとガクンと機能が落ちる(歳を取るほど動かなければ落ちる)
◆ 増えた自由時間を楽しみ尽くすことを生きる目的に(活動的になり身体機能を使う)
◆ 料理、旅行、楽器など、好きなことで運動機能を使い続けること
◆ 誰でも脳は委縮するが、頭を使えば機能は低下しない
◆ 会話はインプットとアウトプットが同時進行で、脳にとってこれ以上の刺激はない
◆ 脳をその気にさせるのは「好奇心」、ワクワクすることに取り組む
◆ 学者、作家、芸術家のようなクリエイティブな仕事をしている人は生涯現役で長寿
この本の中盤では、「歳を取るほどいろいろなことが億劫になってくる」「暴走老人は老化現象か」「大らかな老人と気難しい老人」「歳を取るほど薬の害がひどくなる」「免許は返納しなくていい」および「認知症を正しく理解すれば非案は小さくなります」について解説しています。主なポイントは次の通り。
◆ 前頭葉の萎縮で感情の老化が始まる(ドキドキ、ワクワクが大切)
◆ 感情の老化は、男性ホルモン(テストステロン)とセロトニンの減少が原因
◆ 外に出て日の光を浴び、人と会って焼き肉を食べると意欲が湧いてくる
◆ 前頭葉は感情をコントロールする脳
◆ 老後の人生、毎日楽しみ尽くすこと
◆「不完全ならやらないほうがマシ」という完璧主義は老いが一気に加速する
◆ 薬局による「薬剤管理」が重要に
◆ 認知症は老化現象の一つで、ゆっくり進み、個人差も大きい
◆ 85歳以上の高齢者は、脳にアルツハイマー型認知症の変性が全員にある
◆ MCI(軽度認知障害)で大切な「愉快な人間関係」
本書の後半では、「がんとどう付き合っていけばいいのか」「穏やかな老いを迎えるWith病気という考え方」「老いは同世代に障碍者が増えてくるということ」「失われた能力を嘆くより残された能力を活かそう」「介護保険制度の利用は権利である」「食べることに無関心になってはいけない」「疎かにされがちな高齢者のメンタルヘルス」「どんな年寄りになってやろうかと考えていい時代」および「老いといつまで闘い、いつ受け入れるか」について考察しています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 85歳以上の高齢者で、どこにもがんがない人はいない
◆ がんは認知症と同じで、老化の一現象
◆ がんの治療と放置(飼いならす)の境目は70代
◆ 老いは同世代に障碍者が増えていくこと
◆ 介護保険の利用は権利、自ら申し出て行使するもの
◆ 老いたら粗食ではいけない、たんぱく質不足に注意
◆ 認知症より怖い「高齢者のうつ病」
◆ 長寿の時代では、60代~70代が「思秋期」(どんな老人になるか)
この本の締めくくりとして著者は、「若いころスポーツができたり、頭がいいと言われた人より、脳や体を使い続ける人の方が歳を取ってからの身体能力や知的能力が高い」と述べています。
あなたも本書を読んで、「老化の一般的なコース」を知り、安心感を持ちながら、冷静に対策を考えていきませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2873日目】