「日本国民の215兆円が危ない!」と述べて、600万円以上の認知症患者を抱え、令和の最重要課題として「認知症とお金の問題」を考察し、新しい学問分野である「金融老年学」から打開策を提言している本があります。
本日紹介するのは、1989年神奈川県生まれ、千葉大学医学部に在学中に国家公務員総合職採用試験に合格し、卒業後に内閣府に入府、高齢社会対策、高齢社会白書の作成にも携わり、内閣府退職後は東京女子医科大学東医療センターを経て、現在は慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室に所属して精神科医・産業医として勤務しながら医療政策や予防医療などの研究に従事する木下翔太郎さんが書いた、こちらの書籍です。
木下翔太郎『国富215兆円クライシス 金融老年学の基本から学ぶ、認知症からあなたと家族の財産を守る方法』(星海社)
この本は、認知症とお金の問題やその解決策について、幅広い観点から紹介している本です。
本書は以下の5部構成から成っています。
1.認知症の現在
2.なぜ「認知症とお金の問題」なのか
3.家庭における認知症とお金の問題
4.企業の観点からみた認知症とお金の問題
5.社会における認知症とお金の問題
この本の冒頭で著者は、金融老年学とは、加齢に伴う認知機能の変化が高齢者の資産管理などにどのような影響を与えるかを経済学、法学、医学など様々な側面から研究しているもので、ビジネスの分野からも注目されつつある新しい学問領域です、と述べています。
そして金融老年学をキーワードに、認知症とお金の問題について幅広い視点からまとめることで、多くの人に有用な情報を届けることができる、という本書執筆の理由を紹介しています。
この本の前半では、認知症の現状の姿と、なぜ「認知症とお金の問題」にフォーカスするのかという背景を説明しています。主なポイントは以下の通り。
◆ 認知症は単なる物忘れとは異なる状態
◆ 認知症の多くは治療ができず、完全な予防も難しいため、誰でもなる可能性がある
◆ 日本では認知症の人が増え続けており、自分や家族だけの問題ではない
◆ 認知症と「共生」していくための備えが重要
◆ 高齢者は金融資産を多く持っていてトラブルに巻き込まれやすい
◆ 認知症に人を支援する制度(成年後見制度・任意後見経度・家族信託)の理解が重要
◆ 認知症の進行前に知っておくべき対策がある
続いて本書の中盤では、家庭および企業における「認知症とお金の問題」について実際のトラブル事例を紹介しながら考察しています。トラブル事例の概要は次の通りです。
◆ 増加する消費者トラブルや特殊詐欺
◆ 成年後見制度の利用に伴う注意点
◆ 遺言をめぐるトラブル
◆ 経済的虐待と対応策
◆ 判例に見る認知症高齢者との取引の注意点
◆「かんぽ生命の不適切販売問題」の衝撃
◆ 不正のトライアングル(機会・動機・正当化)を意識した対策
◆ 認知症リスクを把握する「金融老年学」の取組
◆ 自治体と連携し、認知症の人を支える
この本の後半では、社会における「認知症とお金の問題」について世界の潮流、日本社会への影響、および自治体の取り組み事例が紹介されています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 認知症の社会的コストは、2014年の日本で14.5兆円
◆ 認知症の人が保有する金融資産は、2018年の143兆円から2030年には215兆円に
◆ 事故救済制度の「神戸モデル」
◆ 異業種連携推進の「京都モデル」
◆ 市民後見人養成の「大阪モデル」
あなたも本書を読んで、金融老年学を学び、認知症からあなたと家族の財産を守る方法を習得しませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!【2511日目】