「100年生きる人に必要なことは『正解のない問い』に対する向き合い方です。逃げずに向き合い、自分で答えをつくり、そしてその答えを信じて勝負する」と述べて、「ちゃんと考える」とは何をすることなのかを物語を通して伝えてくれる本があります。
本日紹介するのは、1975年神奈川県生まれ、日本大学大学院総合基礎科学研究科修了、理学修士で、ビジネス数学教育家、BMコンサルティング株式会社代表取締役、一般社団法人日本ビジネス数学協会代表理事の深沢真太郎さんが書いた、こちらの新刊書籍です。
深沢真太郎『わけるとつなぐこれ以上シンプルにできない「論理思考」の講義 』(ダイヤモンド社)
この本は、「正解のない問い」に悩んだとき、「自分だけの答え」を出すために、「ちゃんと考える」方法を学び、実践できるようにするために、物語を追体験する方式で記された書です。
本書は以下の3部構成から成っています。
1.考える=「わける」と「つなぐ」
2.「わける」とポイントが見える 「つなぐ」と答えが出せる
3.「考える」の先にある宝物
この本の冒頭では、人生が楽しくなかった女子高生の夏目アヤが、サッカー部に入って活動するうちに活動的な性格に変わり、父親の紹介でサンドロ・ヤマシタという30歳の経営コンサルタントと出会い、「論理思考」のシンプルな本質を学び始める経緯が書かれています。
物語は、夏目アヤがキャプテンを務める蘭和女学院高校のサッカー部が、一度は試合に勝ってみたいとチームが一つになっていくストーリーです。
コンサルタントのサンドロの指導のもとで、教室での練習で「ちゃんと考える」ことを体験し、技術では追いつけない分を、「思考力」を強化することで、試合に勝つ戦略を立てていきます。
そのエッセンスは、「わける」と「つなぐ」で、以下のような思考で、試合に勝つための練習を進めていきます。
◆「勝てない理由」を、➀気持ち、②技術、③システムにわける
◆「技術」を「練習」と「環境」にわける
◆「練習」を「思考力」と「技術」に、「環境」を「経験」と「場所・時間」にわける
◆ → を接続詞として「つなぐ」
◆ 毎回の教室での練習において、「今日の目的」を最初に決める
◆ 数値化して比較する
◆「要素のわける」と「比較のわける」
◆ 2×2=4の形をしたマトリクスで考える
最終的に、チームは一つになって、全日本高等学校女子サッカー選手権大会での初勝利を目指します。結果についてはぜひ、本書を手に取ってお読みください。
この本の巻末には、ビジネスで多く使われるフレームワークについて、「わける」と「つなぐ」という矢印を使った解釈が分かりやすく記されていて参考になります。以下のフレームワークです。
◆ マンダラチャート
◆ SWOT分析
◆ ロジックツリー
◆ 演繹的推論
◆ 帰納的推論(ピラミッドストラクチャー)
◆ PDCAサイクル
◆ 意思決定マトリクス
◆ ディシジョンツリー
私も普段、企業研修の講師として、ロジカルシンキングをテーマとして話をする機会が多くあります。私の場合は「分けるとわかる」という話をよくします。
また、「つなぐ」に関しては、ピラミッド構造の「結論-根拠(キーメッセージ)-具体例」のつながりについて解説します。あるいは、ロジックツリーの使い方について、具体的事例をもとに、「つなぐ」ことを伝えています。
この物語は、一気に読めて、論理的思考を追体験することで、実際に使えるスキルとして、「ちゃんと考える」ことが身につく良書です。
数学やロジカルシンキングに苦手意識のある方に、本書の一読を心からお薦めします。
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では、今日もハッピーな1日を!【2474日目】