「『2000万円問題』に代表される『老後貧困問題』は、必要以上につくられたり、あおられたりしている部分も多いように思います。」、「どんなときも『自分の場合はどうなのか』という『自分軸』で考えることが大切です。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、家計再生コンサルタント、株式会社マイエフピー代表で、お金の使い方そのものを改善する独自の家計再生プログラムで、個別の相談・指導に高い評価を受けている横山光昭さんが書いた、こちらの書籍です。
横山光昭『長い老後のためのお金の基本-年金・貯金・投資がわかる』(ちくま新書)
この本は、超少子化、超高齢化が進む日本で、人生100年時代にいかに自分で自分の将来を守っていくのかを、お金の面から考察している書です。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.データで見る私たちの未来-長生きというリスクにどうそなえるのか
2.長い老後にいくら必要なのか
3.年金制度はちゃんとわかっていますか
4.実は簡単な老後の貯蓄生活
5.リスクの低い投資で運用しよう
6.介護・医療費をどう捻出するのか
7.相続対策をしておこう
この本の冒頭で著者は、自分の生活を支えられる「強い家計」をつくっていくために、「やるべき」ことは次の「たった三つ」だと述べています。
◆ 収入を上げる
◆ 支出を抑える
◆ 資産を増やす
以上の三つをすべてできれば理想ですが、どれか一つでも実行すれば、お金は確実に変わっていく、と著者は言います。そして、いつからでも「遅くない」ということです。
とくに収入を上げ資産を長持ちさせるために、できるだけ長く働くことが大切です。
この結論は、拙著『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)にて、私が提唱した「トリプル・キャリア」という人生設計で、少なくとも85歳まで働く、できれば「生涯現役」のライフスタイルというのと、同じコンセプトです。
次に、老後に必要な金額を「自分のケース」として計算し、不足する見込みならば、➀収入を増やす(働く)、②支出を抑える(毎月少しずつ節約)、③資産を増やす(運用する)を組み合わせて対処する、と著者は説いています。
またマイホームについては、持ち家か賃貸かはライフスタイルの問題なので正解はなく、著者の横山さんは65歳~70歳でリタイアするときに、現金で安い中古を一括購入するつもり、ということです。
本書の中盤では、年金制度の基本を解説し、「ねんきん定期便」をきちんと見ておくこと、さらに「繰り下げ受給」や上乗せ年金などについて説明しています。
さらに、老後の貯蓄やリスクの低い投資について、著者の考え方を提示しています。ポイントは以下の通り。
◆ 毎月の支出と収入をきちんと把握して家計を見直し
◆ お金の使い方について、「自分軸」を持つ
◆ つみたてNISAとiDecoには、税制上のメリットがある
◆ 老後資金のための投資は、少額・分散が原則
この本の後半で著者は、医療・介護および相続対策について、次の留意点を説明しています。
◆ 介護費として300万円は見ておく
◆ 困ったら、地域包括サービスセンターに連絡
◆ 相続争いを避けるには、日付入り、自署名の遺言書をつくっておく
あなたも本書を読んで、老後2000万円問題に煽られることなく、長い老後のためのお金の基本(=年金・貯蓄・投資)をしっかりと学び、準備をしていきませんか。
2020年5月23日に、YouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』【第103回】長い老後のためのお金の基本とは?にて紹介しています。
毎日1冊、ビジネス書の紹介・活用法を配信しているYouTubeチャンネル『大杉潤のyoutubeビジネススクール』の「紹介動画」はこちらです。ぜひ、チャンネル登録をしてみてください。
では、今日もハッピーな1日を!