赤字書店に出向した銀行マンが、ジリ貧社員たちとともに、経営の基本を学び実践していくことで経営を立て直し、「地方元気企業ランキング」で全国第1位に輝くまでになったストーリーを通して、決算書・マーケティング・マネジメントの基礎が学べる小説兼ビジネス書といえる本があります。
本日紹介するのは、1957年福岡県生まれ、明治大学政治経済学部を卒業して、トーハンに入社、その後四国・松山の明屋書店の代表取締役に就任して経営不振の同社を2年でV字回復させ、現在はコンサルタント、講演講師、研修講師の小島俊一さんが書いた、こちらの書籍です。
小島俊一『会社を潰すな! 崖っぷち社員たちの企業再生ドラマ』(PHP文庫)
この本は、地方都市の中小企業の再生小説を読みながら「超入門の決算書の読み方」や「現場で使えるマーケティング理論の基礎」に「コーチングの考え方」まで網羅した「強い組織を作るマネジメントの考え方」など様々な経営理論から「ビジネスマナー」までを自然と学べるようになっている書です。
本書は以下の14部構成から成っています。
1.出向を命ず
2.招かれざる客
3.お客様は「神様」です
4.クレーム対応
5.従業員は、コストですか? 財産ですか?
6.逆上がり、できますか?
7.割増退職金
8.反撃
9.何によって記憶されたいのか?
10.手のひらを反す
11.セレンディピティー
12.奇襲攻撃
13.天命を果たす
14.決算書の読み方・超入門
この本の冒頭で著者は、不況の書店業界で社長として、実際に経営理論の知識とマインドで経営再建を果たし、書店チェーンを『週刊ダイヤモンド誌』が選ぶ2016年「地方『元気』起業ランキング」で全国中小企業300万社の中から第1位に導くことができたことを紹介しています。
この小説は、48歳の地方銀行の銀行マンが、地元の不振が続く書店チェーンに出向を命じられて、専務取締役として経営再建に奮闘することになった経緯から始まります。
招かれざる客として、地元の書店チェーンに入社した主人公の銀行マン(著者)は、様々な困難に直面しながらも、次のような行動で、再建を果たしていきます。
◆ 社長に対して「決算書の読み方」を毎日、レクチャーして理解してもらう
◆ 本店の駐車場を毎日、清掃
◆ 書店の現場を回り、店長と意見交換、マーティング理論やコーチングの実践を伝授
◆ コスト削減の具体策(LED化や冷暖房の入れ方変更、パートのシフト時間変更)を提案
◆ 新しい時代の書店戦略として、大手コンビニとのコラボを提案
◆ 全国チェーンの大手書店が出店することが内定していたショッピングモールへの出店プレゼンで逆転勝利
◆ 店ごとの特徴や店長の強みを生かした特徴ある店づくり
◆ 社長の経営理念を引き出すコミュニケーションと地元への熱い思い
このストーリーの中で著者が提言している「社会人の基礎知識」としての「決算書の読み方・超入門」が巻末にまとめて掲載されているのも参考になります。
詳細についてはぜひ、本書を手に取ってお読みください。
また、アインシュタインの次の言葉を何度か紹介しているのも印象的です。
「愚かさとは、同じことを繰り返しながら、違う結果を求めることである。」
いわるゆ「茹でガエル」現象です。熱湯なら飛び出すけれども、お湯が徐々に熱くなる鍋の中では変化に対応が遅れてしまう、今の書店業界を象徴している現象です。
また、ドラッカーの言葉もいくつか紹介していますが、いずれも示唆に富んだ深い言葉で名言です。
「君は何によって記憶されたいのか?」
「心理学によって人を支配し操作することは、知識の自殺である。嫌悪すべき支配形態である。」
「企業の目的は、顧客の創造にある。」
本書は、企業小説というストーリーの形をとっていますが、経営理論やビジネスの原理・原則を学べる「ビジネス書」です。
分かりやすく、実践的にビジネスや経営の要諦を学びたい人に、ぜひお薦めしたい一冊です。
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では、今日もハッピーな1日を!