「百貨店が活力を持ち続けるためには、新しいライフスタイルや消費の姿を消費者に提案する存在でなくてはならない。」と述べている本があります。
本日紹介するのは、学習院大学国際社会科学部教授、東京大学名誉教授の伊藤元重さんが書いた、こちらの書籍です。
伊藤元重『百貨店の進化』(日本経済新聞出版社)
この本は、著者が日本百貨店協会から依頼されて執筆した同協会70周年記念誌『百貨店の過去・現在・未来』の本編部分に若干の修正を加えたものです。
実は、同協会50周年の記念事業のために著者がまとめた報告書をもとに出版された、伊藤元重『百貨店の未来』(日本経済新聞社)から20年の時を経て、整理したものを再構築したという位置づけになります。
前回の調査は北海道から沖縄まで全国の百貨店を回って経営者や現場の人の話を聞き、米国、アジア、欧州など世界中の百貨店を訪れる大規模な調査でした。
今回も百貨店の現場を見ることを重視して経営者の話を聞き、さらに出店するアパレル、食糧、化粧品などのメーカーの経営者と議論してまとめた、ということです。
著者によれば、百貨店は社会の急激な変化の中で、売上のシェアを落としながらも、長い間、小売業の核となる業態として存続し、生き残りのための変化を模索しています。
主な変化のポイントとして以下の点を挙げています。
◆ 人口の都市集中、とくに首都圏の大都市へ集中
◆ B2CからC2Bへ(一人ひとりの消費者へビジネスが対応していく)
◆ オフラインからオンラインへ
◆ 拡大する e コマース
◆ 情報武装化する消費者
◆ 少子高齢化と働き手の確保
以上のような社会の変化、とくに情報化社会の中で、「百貨店はIT企業になるべき」だと本書では提唱しています。
著者がこれからの百貨店に提示するキーワードは次のようなものです。
◆ 百貨店のアンバンドリング(機能の束がばらける)
◆ 代替と補完(新しい情報技術と置き換えるもの、置き換えられないもの)
◆ 一人ひとりの顧客へのソリューション提供
◆ 配達ネットワークの拡大
◆ 空間の魅力を最大化
◆ 小売業は変化対応業
◆ デコイの効果(商品認知を広げるためのおとり)
◆ お帳場や外商の独自サービス
◆ 急増する訪日外国人
この本の結論として著者は最後に、ある経営者の次の言葉を紹介しています。
「強い人が生き残るのではない。賢い人が生き残るのでもない。変化に対応できる人が生き残るのだ。」
百貨店の真骨頂が時代の変化に合わせて自らの姿を変えていくことになるとするなら、今後とも百貨店のビジネスモデルは変化を続けなくてはならない、と著者は言います。
あなたも本書を読んで、百貨店の進化を通して、社会の変化を学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を!