「たった1枚の図に、あなたの考える力が表れます。」と説明している本があります。
本日紹介するのは、ニューズピックスのインフォグラフィック・エディターの櫻田潤さんが書いた、こちらの新刊書籍です。
櫻田潤『図で考える。シンプルになる。』(ダイヤモンド社)
この本は、「図は、プレゼンツールである前に、思考ツールである」というコンセプトを根幹にして構成されています。
つまり、図を使って考える、そうしてシンプルになった思考を伝えれば、おのずと伝わる、という考え方に立って書かれていて、従来の「図解本」にある表現テクニックの話はほとんど出てきません。
これまでの「図解本」では、フォントや色といったお化粧テクニックにフォーカスしていて、人間で言えば「内面を磨く」ような話が大きく語られてこなかった、と著者は述べています。
この本は、図の中身、いわば思考そのものを磨き上げるためのトレーニングブックになっているのです。
本書は以下の11部構成から成っています。
1.図に慣れる
2.【基礎トレ①】モノゴトの「関係」を見抜く
3.【基礎トレ②】詳細をヌケモレなく、つかむ
4.【基礎トレ③】「なぜ」「どうして」を突き詰める
5.【基礎トレ④】モノゴトを「比べる」
6.【基礎トレ⑤】「流れ」を考える
7.【基礎トレ⑥】「組み合わせ」を意識する
8.【基礎トレ⑦】方向性を決める
9.【応用】多面的に考える
10.習慣化して武器にする
11.図の見せ方、語り方
この本の冒頭で著者は、思考を磨き上げる「7つの図」を、以下の通り紹介しています。
1.交換の図; あらゆる関係を「見える化」する
2.ツリーの図; モノゴトの構造をクリアにする
3.深堀りの図; 疑問をどんどん掘り下げてクリアにする
4.比較の図; 2軸で項目の違いをクリアにする
5.段取りの図; 目的や目標までの道のりを「見える化」する
6.重なりの図; 商品やサービスの「特徴」を浮き彫りにする
7.ピラミッドの図; 目指す方向性をはっきりさせる
そして図は、形が決まったパーツの組み合わせなので、表現が限られ、その結果、「こういう内容を理解したいときは、この図を使って考える」といった具合に “ 理解の型 ” が生まれます。
したがって、①思考プロセスそのものが単純化する、②シンプルなパーツの組み合わせだから無駄がない、という「2つのシンプル」が得られるのです。
これら「7つの図」は、モノゴトの理解に向いていて、かつ利用頻度の高い定番の図(視点)を選んだ、と著者は言います。
これらの図を仕事で使うと、以下のように仕事が驚くほど楽しくなる、と本書では説明しています。
◆ 頭の中のモヤモヤがクリアになる
◆ 会議、打ち合わせで主導権を握れる
◆ 要点をスピーディーに伝えられる
◆ 質の高いプレゼンができるようになる
この本の中盤以降では、それぞれの図について、具体的な使い方や「理解のポイント」が記されていて、実践的に活用できるようにトレーニングブックの形式になっています。
例えば、「交換の図」は、思考の切り口は「関係」で、次のようなポイントがあります。
◆ 交換の中心が誰か見極める
◆ 隠れた関係者を見抜く
◆ 交換の対価はお金とは限らない
次の「ツリーの図」は、思考の切り口は「構造」で、次のようなポイントがあります。
◆ グループが作りにくい項目は「その他」に
◆ 1項目でもグループ名をつけてOK
◆ ツリーにまとめるときは、すべてが集約される項目を最初に置く
3番目の「深掘りの図」は、思考の切り口は「要因」で、次のようなポイントがあります。
◆ 細かく分けて考える
◆ 「これ以上掘り下げられない」ところまで分解する
4番目の「比較の図」は、思考の切り口は「立ち位置」で、次のようなポイントがあります。
◆ タテ軸は重視していることを上に
◆ ヨコ軸は重視していることを右に
◆ 訂正的な切り口の場合、主観が表れやすいと割り切る
5番目の「段取りの図」は、思考の切り口は「手順」で、次のようなポイントがあります。
◆ ステップ内の言葉は最初、ざっくりでOK
◆ ステップ内の説明はMAX3行でまとめる
◆ つけ加えたいことは、メインの流れとは別にする
6番目の「重なりの図」は、思考の切り口は「コンセプト」で、次のようなポイントがあります。
◆ 何と何と何のかけ算か見極める
◆ 単純なつくりであることを活かす
◆ 円の中の言葉は2行以内を目指す
最後の7番目の「ピラミッド図」は、思考の切り口は「方針」で、次のようなポイントがあります。
◆ 上にいくほど上位概念
◆ まず、大まかな形をつくってしまう
◆ 細かいことはあとで調整する
この本の最後で著者は、「伝わる図」を作るためには、表現テクニックに走る前に、「自分自身が納得し、理解できる図」を作る必要がある、と述べています。
つまり、「図で考える」トレーニングを習慣化すると、上達も早くなる、ということです。
そして、図で考え、図で語るために、思考パート3つ、伝達パート2つを、以下の「流れ」で進めることを意識してください。
1.題材の決定
2.切り口の決定
3.対象の理解
4.見せ方の調整
5.語り方の調整
あなたも本書を読んで、仕事のスピードを劇的に上げる「7つの道具」を使いこなして、「図で考える。シンプルになる。」を実践してみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を