「落ち度がある人物、あるいは落ち度があると一方的に思い込んでいる人物をターゲットにして徹底的に叩く。ネット時代になって、こうした行動が非常に目立つようになった。」と指摘している本があります。
本日紹介するのは、東芝に勤務の後、東京都立大学大学院、カリフォルニア大学客員研究員、大阪大学大学院助教授等を経て、現在は、MP人間科学研究所代表の榎本博明さんが書いた、こちらの新刊新書です。
榎本博明『正しさをゴリ押しする人』(角川新書)
この本は、落ち度があるかに見える人物を批判する人、何らかのクレームをつける人の中には、ほんとうに正しいことを主張している「正義の人」ばかりでなく、日頃の鬱憤を晴らすかのように人を攻撃する「危ない人」も含まれることを指摘している書です。
例えば、毎週のように週刊誌を賑わしているタレントの不倫問題や、震災直後にお花見を楽しんでいた人、消防隊員や救急隊員が制服のまま消防車に乗って昼食をとっていた問題など、一般市民からの批判やクレームは、果たして正義感だけからなされているのか疑問だと著者は述べています。
本書は以下の7部構成から成っています。
1.「正義の人」か「危ない人」か?
2.「正しさ」をめぐる攻防がややこしいのはなぜか?
3.なぜそこまで「自分の正しさ」を信じ込めるのか?
4.「正しさ」をゴリ押しする行動の背後にある心理とは?
5.正義感をあざ笑う時代の空気
6.「正しさ」をゴリ押しする「危ない人」に見られる兆候
7.「正義の人」が「危ない人」に変わる瞬間
この本の冒頭で著者は、競争に関する世の中の矛盾について問題提起をしています。
例えば、自由競争を奨励し、規制緩和を要求してくるアメリカの圧力のもと、自由競争によって低価格競争が際限なく行われ、価格破壊が企業を追い込み、労働者を低賃金で酷使せざるを得ない状況が生じています。
一方で、日本の学校では、政府の方針とは正反対の「競争の排除」が行われています。運動会の徒競走では差がつかないような組み合わせに敢えてしたり、学芸会では主役の子が何人も入れ替わるなど、徹底した競争の排除が行われています。
こうした学校で学んだ子供たちが、社会に出て行った瞬間に、厳しいグローバル競争や成果主義の人事制度に果たして耐えられるものなのか、と著者は指摘します。
またネットの特性として、一方的に自己主張できたり、匿名での投稿は相手の立場や気持ちを考えず、自分の思うことを遠慮なく書き込んでしまいがちになる、と本書では指摘しています。
さらに、「正しさ」をゴリ押しする人に目立つ特徴は、何と言っても「認知的複雑性の乏しさ」です。
認知的複雑性の高い人は、ものごとを多面的にみることができるため、いろんな人の考え方に共感できます。
一方、認知的複雑性の低い人は、ものごとを多面的にみることができないため、自分と違う考え方を容認できない、ということです。
続いて、この本の中盤では、「正しさ」をゴリ押しする行動の背後にある心理について解説しています。
その心理は以下のようなものです。
◆ 生理的欲求不満がもたらす攻撃性
◆ 社会的欲求不満がもたらす攻撃性
◆ 日本的甘えによる欲求不満がもたらす攻撃性
◆ 満たされない承認欲求
◆ 若い世代や中高年が持つ不公平感
◆ 自分は正当に評価されていないという不満感
この本の後半では、「危ない人」に見られる特徴が述べられていて、参考になります。
あなたも本書を読んで、世の中の「気持ち悪さ」と「息苦しさ」の正体を学んでみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を