若松義人氏は、トヨタ自動車工業に入社後、大野耐一氏のもとで「トヨタ生産方式」を実践してきた経歴を持つ。トヨタ方式のカイゼンに関する著書も多い。
本書は、トヨタ自動車が生産現場で大切にし繰り返し述べてきた言葉を整理してまとめたものだ。海外でも、この「トヨタの生産方式」は「TOYOTA WAY」と呼ばれ高い評価を受けている。
本書の構成は以下の通りだ。
1.「現場」 を動かすときの言葉
2.「人財」 を育てるときの言葉
3.「チーム力」 を上げるときの言葉
4.「改善」 するときの言葉
5.「知恵」 を絞るときの言葉
6.「なぜ」 を問うときの言葉
7.「実行」 するときの言葉
8.「WAY」 を伝えるときの言葉
以上のそれぞれの場面ごとに繰り返し使われている代表的な言葉を以下に紹介しよう。
1.在庫は罪悪、 品質は工程でつくり込む
2.仕事は部下との知恵比べ、 モノをつくる前に人をつくれ
3.前工程は神様、後工程はお客さま
4.改善は永遠にして無限である
5.モノの値段はお客さまが決める
6.「なぜ」 をくり返すことで、源流に遡って考える
7.今日のことは今日片づける、 当たり前のことを当たり前に
8.困らなければ知恵は出ない、 どれだけ失敗しているかが大切だ、 良き企業市民たれ
どの言葉も、深い含蓄を持った言葉で、物事の真実、真髄を表している。トヨタが生産現場で改善を重ねる中で、知恵を凝縮させて出来た言葉だ。
これらの言葉を噛み締めるだけで、製造業の経営には大いに役立つだろう。業界や業種を超えて通用する、企業経営の要諦だ。全ての経営者、経営幹部、管理者に読んでもらいたい一冊だ。本書を心から推薦したい。