「大富豪8人と下位36億人の資産は同じ」という、理不尽な社会の狡猾な仕組みの内幕に斬り込んでいる本があります。
本日紹介するのは、11年間にわたりNHK「週刊こどもニュース」のお父さん役として活躍し、その分かりやすく丁寧な解説に、幅広い人気を得た池上彰さんが書いた、こちらの新刊新書です。
池上彰『世界から格差がなくならない本当の理由』(SB新書)
本書の冒頭で著者は、「日本でもアメリカでも格差が深刻になっている」と指摘しています。
この本では、世界を覆い尽くす「格差」について、なぜ富める者はより富み、貧しい者はさらに貧しさへと突き落とされる理不尽な社会になっているのか、を問いかけています。
つまり、なぜ「格差」は拡大し続けるのか、という資本主義が生み出した最大の病巣について、斬り込み、その是正の方向を考えています。
本書は以下の10部構成から成っています。
1.なぜ世界から格差はなくならないのか
2.日本でもアメリカでも深刻になる格差
3.金持ちが独立し、富裕層だけの都市が続々誕生
4.アメリカの大富豪トップ20はどんな人たちか?
5.ウォール街で知る巨額資産のカラクリ
6.グローバリゼーションの闇
7.トランプ大統領の誕生で、金持ちはますます金持ちに
8.貧しい人がますます貧しくなる日本
9.日本の格差はなぜ広がったのか?
10.格差是正の方策を考える
池上彰さんの本はすべてそうですが、とくにこの本は図や写真を多く使い、文字だけではなく、読者がイメージを持って読み進むことができるように工夫されています。
アメリカの大富豪の紹介、世界3大投資家のウォーレン・バフェット、ジョージ・ソロス、ジム・ロジャースの紹介も、生活の様子まで交えながら解説していて分かりやすいです。
ただ、それだけではなく、「格差」を考える上で大切な概念や経済学理論なども紹介していて、この本を1冊読み通せば、世界の「格差」問題や資本主義が抱える根本的な問題が理解できるようになっています。主なポイントは以下の通りです。
◆ 平均所得ではなく所得の中央値を使う
◆ 絶対的貧困と相対的貧困、そして相対的貧困率の推移
◆ アメリカで富裕層だけの新しい「市」が続々誕生
◆ 格差の拡大を実証したトマ・ピケティの『21世紀の資本』
◆ アメリカ経済誌『フォーブス』の世界長者番付
◆ 格差を引き起こす安売り競争
◆ 東西冷戦の終結によるグローバリゼーション
◆ ウォルマートと中国製法縫製工場の過酷な実態
◆ 永住する人が年々増えるシンガポール
◆ タックスヘイブンによる税逃れ
◆ 世界に衝撃が走った「パナマ文書」の公開
◆ 所得最下層の貧困化が進む日本と子どもへの影響
◆ 金融ビックバンと小泉構造改革
◆ 正規社員と非正規社員の推移
◆ 増え続ける企業の内部留保
以上のようなポイントを解説した上で、本書の締め括りとして、次のような是正策を紹介しています。
◆ 同一労働同一賃金の取り組み
◆ 寄付による「富の再分配」
◆ 子どもの教育格差改善
あなたも本書を読んで、世界と日本の「格差問題」の本質を理解し、対策を考えてみませんか。
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では、今日もハッピーな1日を