書評ブログ

『人間さまお断り-人工知能時代の経済と労働の手引き』

「人工知能技術の進歩に伴い、“ 人間さまお断り ” の時代は必ずやってくる」と警鐘を鳴らしている書があります。

 

 

本日紹介するのは、スタンフォードAI研究所に入所した後、次々とIT部門の新興企業を興して成功し、現在はスタンフォード大学に戻って教鞭を執るジェリー・カプランが書いた、こちらの新刊書籍です。

 

 

ジェリー・カプラン『人間さまお断り-人工知能時代の経済と労働の手引き』(三省堂)

 

 

この本は、「Humans need not apply」(=人間は応募不可)の翻訳書であり、人工知能の技術が広がり、人間の仕事を奪っていくという、未来を予言した書です。

 

 

著者のカプランさんは、スタンフォード大学で人工知能を研究した研究者としての面と、シリコンバレーでシリアル・アントレプレナーとして複数の起業を成功させた事業家という、両方のバックグラウンドを持った人です。

 

 

技術革新の動向にも精通しながら、産業・社会へのインパクトや将来予測にも的確な見識を持っているという点で、本書は類書にない、人工知能を中心とする技術革新が経済・社会(とくに労働市場)に与えるインパクトを正確に予測した本だと言えるでしょう。

 

 

 

本書は以下の11部構成から成っています。

 

 

1.導入(イントロダクション)-これがあなたの未来です

 

2.コンピュータに釣りを教える

 

3.ロボットに治りかたを教える

 

4.この泥ロボット

 

5.神々は怒っている

 

6.おまわりさん、あのロボットが犯人です

 

 

7.送料無料の国、アメリカ

 

8.大胆なファラオたちの国

 

9.どんな仕事も自動化できる

 

10.ぴったりの方法がある

 

11.導出(アウトロダクション)-これがあなたの子供たちの未来です

 

 

本書の冒頭で著者は、スタンフォード人工知能研究所へ30年ぶりで戻った時の驚きを次のように述べています。

 

 

この分野(人工知能研究)のもともとの目標-知性のなんたるかを突き止め、それを電子的に再現するという-は失われ、流麗なアルゴリズムと気の利いたデモンストレーションばかりがもてはやされている。

 

 

つまり、自分の分野の次なるブレイクスルーにばかり目を向けていて、より大きな全体像が見えなくなっているのではないか、という驚きと危機感、ということです。

 

 

したがって本書は、スタンフォード人工知能研究所設立時の精神を蘇らせるために、著者が講義した「人工知能の歴史とその思想」をまとめ、さらに経済・産業社会に対するインパクトおよび将来予測を述べるものになっています。

 

 

スタンフォードAI研究所の優秀で熱心な研究者たちは、道義的にはマンハッタン計画(原子爆弾を開発する極秘計画)の21世紀版に従事している、と著者は言います。

 

 

本書は、巻末の松尾豊さんの解説にもある通り、いくつか他の類書にはない最新の考え方や予測が記されています。とくに私が共感する指摘や概念を以下に挙げておきます。

 

 

◆ 人工知能は「合成頭脳」と「労働機械」に分かれる

 

◆ 「合成頭脳」の典型は、グーグル、ファイスブック、アマゾンで米国が強い

 

◆ 「労働機械」はディープラーニングによる知覚を補うブレークスルーで将来性が高い

 

◆ 人工知能にも刑事罰を問う「人工人格」の考え方が登場する

 

◆ 新型の新商品として「就活ローン」が出てくる

 

 

あなたも本書を読んで、人工知能の技術革新がもたらす未来を考察してみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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