『死に逝く人は何を想うのか 遺される家族にできること』

2017.01.19 (木)

「いつか訪れる大切な人との別れ。その準備はできていますか?」と問いかけ、穏やかな「見送り」のあり方を提案している本があります。

 

 

本日紹介したいのは、ホスピス緩和ケアを専門とする米国認定音楽療法士で、米国と日本で1,200人以上を見届けた、佐藤由美子さんが書いた、こちらの新刊新書です。

 

 

佐藤由美子『死に逝く人は何を想うのか 遺される家族にできること』(ポプラ新書)

 

 

この本は、音楽療法士として、米国オハイオ州のホスピスで10年間、そして青森慈恵会病院の緩和ケア病棟にて、多くの患者の死を見届けた経験を持つ著者の佐藤さんが、「死に直面した人の心の変化」や、「大切な人のために家族ができること」を書いたものです。

 

 

アメリカと日本での「24のケース」を紹介しながら、音楽療法を通して、「大切な人との別れ方」を提案しています。

 

 

 

本書は以下の3部構成から成っています。

 

 

1.死に直面した人の心の変化

 

2.大切な人のために家族ができること

 

3.グリーフについて-悲しいのは、当たり前のこと

 

 

本書の冒頭で著者は、「死に直面したとき、人はさまざまな痛みや苦しみを経験する。病気に伴う体の痛みや不快感の大半は、薬をうまく使うことによって抑えることができるが、スピリチュアルペイン(精神的な痛み)は薬で解決できないため、対応が難しい。」と指摘しています。

 

 

本書によれば、スピリチュアルペインとは、「自分らしく生きられなくなった悲しみや、人生の意味を見出せない苦しみ、人生を振り返ってやり残したことへの後悔、大切な人との関係を修復できない苦悩」などを指すそうです。

 

 

こうした「死に直面した人」の心の痛みを、正確に理解している著者の経験と、そこから導き出された分析や的確な推論は、本書の多くの事例を読み進むうちに、強い説得力を持って、読者の心を捉えます。

 

 

また、こうしたスピリチュアルペインを「癒す」ことができるのは、本人だけだという本書の主張も、確かにその通りだと、事例を読む中で納得しました。

 

 

本書の中で著者は、「死に直面した人の心の変化」として、次の5つを挙げています。

 

 

1.孤独感(Isolation)

 

2.ショックと否定(Shock & Denial)

 

3.怒りと悲しみ(Anger & Sadness)

 

4.不安と恐怖(Anxiety & Fear)

 

5.希望(Hope)

 

 

最後の「希望」に至るまでの過程で、死を迎えようとしている末期の患者たちは、多くの矛盾した感情を持つものだ、と著者は言います。

 

 

そして、死に直面した人たちは、それまで生きてきた人生や性格周りのサポートの有無彼らを取り巻く環境などによっても大きく感情が変化する、ということです。

 

 

また、死を迎える人の心について書いた本として、精神科医のエリザベス・キューブラー・ロス『死ぬ瞬間-死とその過程について』(中公文庫)を紹介しています。

 

 

同書によれば、死の受容プロセスには、以下の5つの段階がある、としています。

 

◆ 否定

◆ 怒り

◆ 取引

◆ 抑うつ

◆ 受容

 

 

こうした「死に直面した人の心の変化」については、佐藤由美子さんが音楽療法士として、実際に立ち会ったケースを、本の中で紹介して、詳しい解説がなされています。

 

 

ここでは敢えて、具体的な詳細は書きませんので、興味のある方はぜひ、本書をお読みください。

 

 

 

また、この本の中盤からは、患者に寄り添う家族ができることについて、ケースを紹介しながら具体的に書かれています。

 

 

私がとくに印象に残ったのは、人生を振り返り、内省する「ライフ・レビュー(回想)」についての記述です。

 

 

よく高齢者の方が昔の話をすると、「また思い出にひたっている」とか「現実逃避している」などど否定的に見られがちです。

 

 

しかし、回想には極めて重要な役割がある、と本書では述べています。そして次のように指摘しています。

 

 

「過去を振り返り、内省することで彼らは人生の意味に気づき、現状を乗り越える力を得ていく。そしてときには、やり残したことに気づいたりもするのだ。」

 

 

そして、音楽の力を用いて、意図的に回想の過程をサポートすることを「音楽回想法」と言い、ただ音楽を聴いてもらうこともあれば、一緒に唄ったり楽器を弾いたりすることで、回想につながることもあるそうです。

 

 

末期の患者さんは、とてもボーナブル(vulnerable)な状況にあり、傷つきやすいため、周囲にいる私たちは「大きな器」になって、そのまま受け止め理解することが大切だ、と言います。

 

 

本書の最後には、「グリーフ」、すなわち、「深い悲しみ」「悲嘆」について書かれています。もちろん、大切な人を失うことに対する「悲しみ」です。

 

 

グリーフは避けて通れない過程だ、と本書では述べています。ただ、乗り越えるためのヒントとして、次の6つを紹介しています。

 

 

◆ 最初の1年は大きな決断をしない

 

◆ 自分に優しくする

 

◆ 感情を殺さない-音楽を使ったセルフケアについて

 

◆ 周囲にサポートを求める

 

◆ 同じような経験をした人と知り合う

 

◆ 複雑なグリーフは専門家に頼る

 

 

本書は、「死に直面した人の心」を考えることで、周囲の私たちが、「生きることを考えること」に繋がってくることを、教えてくれます。

 

 

死というのは、いつかは誰にでも訪れるもので、それを意識することによって、「今の生き方」や、自分の人生を問い直すことになります。

 

 

本書の中で、著者の佐藤さんが紹介してくれる24のケースは、ほんとうにリアルで、死を迎える人や家族など寄り添う人の心の変化が、伝わってきます。

 

 

改めて自分の生き方や人生を問い直し、勇気をもらえる本です。死について考えることは、生きることを考えることだと再認識させられました。

 

 

大切な人との別れは、すべての人が経験することです。穏やかな「見送り」ができるよう、そして「死を考えること」により「よりよく生きる」ために、本書を心から推薦します。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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