『データで読み解く「生涯独身」社会』

2019.08.23 (金)

50歳で一度も結婚経験がない人の割合を示す「生涯未婚率」が急上昇していると指摘し、その真の原因をデータで読み解いている本があります。

 

 

本日紹介するのは、東京大学経済学部を卒業し、日本生命保険に入社、現在はニッセイ基礎研究所・生活研究部 准主任研究員天野馨南子さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

天野馨南子『データで読み解く「生涯独身」社会』(宝島社新書)

 

 

この本は、男性の4人に1人、女性の7人に1人が50歳時点で一度も結婚経験がない状況(2015年国勢調査)にある中で、「結婚したいのにできない」人が増えているのはなぜなのかデータを読み解くことで明らかにしている書です。

 

 

 

本書は以下の5部構成から成っています。

 

 

1.結婚願望がないのか、叶わないのか

 

2.「結婚の壁」のリアル

 

3.親子同居という「甘い罠」

 

4.“ 毒親 ” が未婚化を加速させる

 

5.考えるべきは「親亡きあとの子の幸せ」

 

 

 

この本の冒頭で著者は、未婚化が少子化に直結する日本で起こっている、「よくある誤解」として、以下の3点を挙げています。

 

 

◆ 未婚化は、男性よりも女性の方が深刻だ

 

◆ 夫婦が生む子どもの数が減ったことが、少子化につながった

 

◆「結婚したくない」「子どもは欲しくない」と考える若い男女が増えている

 

 

 

以上のような誤解を、本書では統計データを使いながら、ひとつずつ否定しつつ、次のような結論を提示しています。

 

 

◆ 完結出生児数(=初婚同士のカップルが最終的に持つ子どもの数)は、最近時30年以上もの間、「約2人」で変わらない

 

◆ 日本の出生率の低下の大きな原因は「未婚者が増えたこと」(「夫婦の子どもの数が減ったこと」ではない)

 

◆ 男性の生涯未婚率は24.2 %(4人に1人)、女性は14.9%(7人に1人)で、大きな差がある(2015年国勢調査)

 

◆ 2015年時点の50歳人口は男女とも86万人なので、女性13万人に対して、男性は21万人が生涯独身者

 

 

 

◆ 18歳~34歳の若い男女で、「交際相手がいない」割合は急上昇しており、2015年では、男性69.8%、女性59.1%

 

◆ 交際相手がいないのままでいる男女が急増している

 

◆ 日本の18歳~34歳の若者が「独身でとどまっている」理由は、20代前半までは「まだ若すぎる」、25歳以上は「適当な相手がいない」

 

◆ 男女とも高学歴化(半数以上が4年制大学卒)して、親や企業の人事管理者が「晩婚化を奨励」している影響が大きい

 

 

 

◆ 男女とも、同年齢前後の相手との結婚願望が強い

 

◆ 男性の未婚者が急増しているのは、20代後半以降は女性の同年代未婚者が少なくなるため

 

◆ 男性再婚で、7歳以上下の女性初婚との結婚が増えており、これが男性の生涯独身者が増える大きな要因

 

◆ 上記の「タイムラグ式一夫多妻制」の仕組みが、独身男性にとって、結婚市場から同年代適齢期の女性を少なくしている

 

 

 

以上のようなデータ分析に基づく結論に、基本的に私も同感ですが、これに「経済的理由」が深くかかわっている、と私は考えています。

 

 

結婚できないのは「お金がない」が原因ではなかった、と本書の帯には書かれているのですが、入社して数年の結婚適齢期の男性の年収が少なく、結婚を考えることができない間に、年上の再婚男性が経済力があって、7歳以上若い初婚女性とカップルになっている、と考えられます。

 

 

インターネットによるビッグデータを活用した結婚情報サービス会社が次々に誕生し、成婚率を競っている中で、とくに女性の登録会員が結婚相手に求める条件で断トツなのが「年収」です。

 

 

自分自身の年収からくる将来不安や、親や周囲がリストラなどで生活で苦労する姿を見て、何よりも「経済的安定」を結婚に求めているのです。

 

 

このことを著者は、実際に結婚生活でかかるお金を、未婚者は多く見積もりすぎる傾向にある、と指摘しています。

 

 

結婚相談所で、相手を見つけて成婚に至る最大の秘訣は、「相手に求める年収希望額を下げること」である、と成約実績の高い、優秀な結婚コンサルタントは、口を揃えて断言しています。

 

 

 

また本書では中盤以降に、世の中に「よくある誤解」として、追加で以下のようなことを挙げています。

 

 

◆ 長期不況で雇用が悪化したせいで、未婚化が進んでしまった

 

◆ 高学歴化した女性が男性を選り好みするようになり、結婚しにくくなった

 

◆ バリバリ働く女性が増え、専業主婦が減ったことが少子化につながった

 

 

 

◆ 結婚すると、お金の面で損をすることが多い

 

◆ 親が「老年期」に入ると、子どもとの同居率は上がる

 

◆ 親の介護など、家庭の事情で結婚を諦める人は多い

 

 

 

年齢が上がるにしたがって「結婚の壁」となる要因が増えることを著者は指摘していて、年齢が上がるほど人生の経験が多いために、新たに行動を起こすときに、解くべき「人生の方程式」は複雑になるのです。

 

 

 

具体的には未婚男性にとっては、以下の2つが大きな要因です。

 

 

◆ 結婚が難しくなるような事情や要求事項が増える(親と同居、仕事を辞めたい、年収が高い相手がいい等)

 

◆ 好みのタイプといえる「未婚の女性」が周りに少なくなる

 

 

 

また本書では、「好きになる力」(=好きになって行動に移す力)が既婚者と未婚者を大きく隔てているのではないか、と述べています。

 

 

 

さらに、ひとり暮らしは、実はコスト面でもデメリットが多く、お金がない人ほど「結婚がお得」と指摘しています。しかし、最もコストパフォーマンスがいいのは「親との同居」で、これが独身を続けてしまう罠になっています。

 

 

親子同居が未婚化を促進しているのが日本の現状で、これは「同じ釜の飯を食う」という分業協業体制の農耕民族に特有だ、と著者は言います。

 

 

 

欧米では、「子供の自立」が子育ての目標であり、それは「自らの狩場を親とは別に持つ」という意味です。それができないと、同じ狩場に生息する獲物(動物)を取り合うことになり、親子共倒れになってしまうからです。

 

 

 

この本の最後で著者は、以下のような指摘をしています。

 

 

◆「子ども部屋おじさん」(=社会人になっても親元を離れず、学生時代と同じ子ども部屋に住み続けている中年男性)の長期化が未婚を促進する

 

◆「20代後半」がターニングポイント

 

◆ 出生率に女性よりも影響する男性の初婚年齢

 

◆ モンスターペアレントの台頭と未婚化の急増

 

◆ 親による過干渉の長期化

 

◆ 子どもに強く影響する親の結婚観

 

 

 

あなたも本書を読んで、日本が「生涯独身」社会に向かっていることついて、考えてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を!

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