池谷裕二 『脳の仕組みと科学的勉強法』 (ライオン社)

2014.12.12 (金)

池谷裕二氏は、1970年静岡県生まれで、東京大学薬学部を卒業後、同薬学系大学院をトップの成績で修了した。1998年に 「海馬(脳)」 の研究で薬学博士号を取得して、東京大学薬学部助手となる。

本書は、脳神経科学の研究者である池谷氏が、人類最後の謎とされる 「脳」 に関する最新の脳科学研究の成果を踏まえて、脳の仕組みをしっかりと理解した上での勉強法を解説した書だ。

「勉強の成果」 と 「勉強方法」 には深い関係があり、効率的な勉強方法を発見するためには、脳の仕組みをしっかりと理解することが大切だ。脳の仕組みに逆らわず、むしろそれをうまく利用して勉強することが肝心だ。

まず本書の冒頭にて著者は、「脳は忘れるようにできている」 と述べている。また、脳には1,000億個もの神経細胞があり、脳の記憶は曖昧なものだ、という。

そうした前提のもとに、本書では以下の構成により、脳の仕組み、記憶の仕組み、および効率的な記憶法や学習法について、分かりやすく解説されている。

1.脳の機能は 「忘れて当然!」
2.曖昧でいい加減な 「脳の本質」
3.だれでも天才になれる 「記憶法」
4.記憶の仕組みと学習方法

本書で展開されている池谷氏の 「脳の仕組み」 や 「記憶のメカニズム」 に関する説明は、たいへん分かりやすく、効率的な学習法がよく理解できる。私がとくに感銘を受け、印象に残った解説を以下に紹介したい。

1.脳の仕組みからして、1ヶ月以内に復習する繰り返しが記憶のポイントだ
2.まず大局を理解して、基礎から応用・詳細へと記憶する
3.理解の仕方として、法則性や共通点を見出すことが重要
4.習得した一分野を応用する 「学習の転移」 によって習得は加速する
5.精緻化する (連合して経験記憶にする) と、記憶に残りやすい

6.他人に説明すると経験記憶に変わり、とくに耳を中心とする五感を使うと忘れにくい
7.記憶のピラミッド (方法⇒知識⇒経験) に沿って年齢とともに積み上がる
8.方法記憶は 「魔法の記憶」 と呼ばれ、奥が深く、膨らむ記憶だ
9.学習の転移は 「累乗の効果」 により、途中から一気に習得が加速するため継続が大切だ
10.脳の 「海馬」 が記憶をコントロールし、復習が効果的

11.復習は、①翌日、②1週間後、③2回目から2週間後、③3回目から1ヶ月後、という4回の復習が理想的だ
12.記憶した後の睡眠が重要で、6時間以上が必要
13.寝ている間に海馬が情報を整理整頓し、その後の学習を加速するが、それを 「レミニセンス効果」 と呼ぶ
14.LDP (Long-Term Potentiation)、すなわち 「長期増強」 により、長期的に海馬の神経細胞を活性化する
15.繰り返す努力とめげない根性が記憶には大切

本書では、「知識記憶」 を、いかにして感情を伴った 「体験記憶」 に変えていくかが説明されているが、もうひとつ挙げられている 「方法記憶」 が、様々なケースで応用が効き、学習法のポイントになる。

著者によれば、頭のいい人というのは、格別に脳が発達しているわけではなく、「脳の仕組み」 を理解して、その使い方が上手いに過ぎない、という。

最先端の脳科学に基づいた本書のポイントを踏まえて、読書あるいは多読を進めることで、効率的かつ忘れない読書法が習得できる。私自身も読書の際に活用させてもらい、大きな効果を発揮している。

本書をすべての学習意欲ある方々に、心から推薦したい。

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