書評ブログ

『定年後のお金 寿命までに資産切れにならない方法』

「50歳を超えた私たちは、資産を創る “ 山登り ” を終えて、これから資産を使う “ 山を下りる ” 時期に近づいている」と述べている本があります。

 

 

本日紹介するのは、1959年生まれ、山一証券経済研究所アナリストからメリルリンチ証券を経て、現在はフィデリティの退職・投資教育研究所所長を務める野尻哲史さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

野尻哲史『定年後のお金 寿命までに資産切れにならない方法』(講談社+α 新書)

 

 

この本は、人生100年時代になり、誰もが公的年金だけでは生活できない時代になって、生活資金の不足を補うために、現役時代に蓄えてきた資産を取り崩すにあたり、いかに資産寿命を延ばす取り崩し方を実行するか、について書いたものです。

 

 

 

本書は以下の9部構成から成っています。

 

 

1.はじめにー「老後難民」にならないために50代、60代にできること

 

2.引き出し方がわかればお金の寿命は延ばせる

 

3.逆算の資産準備があなたを救う

 

4.退職後に必要な生活資金を計算してみよう

 

5.退職後の生活費をいかに減らすか

 

 

6.退職後生活は「使いながら運用」で決まる

 

7.定率引き出しのすすめ:4%引き出し

 

8.退職後の資産運用のすすめ:3%運用

 

9.おわりにー運用も引き出しも「時間をかける」こと

 

 

 

この本の冒頭で著者は、「本書は、人生という坂の上手な下り方を “ 自分事 ” として読者と一緒になって考える、資産寿命を延ばすための上手な引き出し方の試案書であり、指南書です。」と述べています。

 

 

著者の定義によれば、60歳までの資産を積み上げる「上り坂」の時代Accumulation(アキュミュレーション)の時代、略して「A世代」と呼び、一方、資産を引き出す「下り坂」の時代Decumulation (デキュムレーション)の時代、略して「D世代」と命名しています。

 

 

とくに「D世代」資産を引き出しながらできるだけ維持することを「デキュムレーションする」として、これを「デキュる」と呼んで普及させたい、と著者は述べています。

 

 

 

本書では、「逆算の資産準備」として、お金は次の3つのステージで考えるべきだ、としています。

 

 

◆ 積み立てながら運用する時代(60歳まで)

 

◆ 使いながら運用する時代(60歳~75歳)

 

◆ 使う時代(75歳以降)

 

 

この分類は、私が『定年後不安 人生100年時代の生き方』(角川新書)にて提唱している「トリプル・キャリア」と同じ年齢区分での分け方で、共感できます。

 

 

違う点としては、この本では75歳以降を「使う時代」としているのに対して、私の著書では、75歳以降も長く働くことにより稼ぎ続けることを提唱していることです。

 

 

 

この本で提唱している資産運用・活用のポイントは、以下の点になります。

 

 

◆ 退職後年収(=年間の支出)が退職の直前の年収に対する比率を「目標代替率」として設定

 

◆ 生活水準ではなく、生活「費」水準を下げる

 

◆ 住みやすい人口50万人程度の地方都市移住で生活費を下げる

 

◆ 定率引き出し(コツコツ引き出す)というデキュムレーション

 

◆ 60歳~75歳の「使いながら運用する」時代は、「4%引き出し3%運用」が目安

 

 

 

また、消費者物価や人口密度から見た地方移住候補の都市として、著者が推薦するのは、次の5都市です。

 

 

1.奈良市(36万人)

 

2.前橋市(34万人)

 

3.鹿児島市(61万人)

 

4.岐阜市(41万人)

 

5.松山市(52万人)

 

 

 

この本では、欧米では常識になっている「資産の引き出し方」にスポットを当て、寿命まで資産が枯渇しない方法を分かりやすく解説していて、日本では類書のない視点が学べてお薦めです。

 

 

あなたも本書を読んで、「定年後のお金」について考えてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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