『悩める日本人「人生案内」に見る現代社会の姿』

2018.02.09 (金)

100年以上の長きにわたって続く読売新聞の名物連載「人生相談」に一般読者から寄せられる数々の悩み相談を分析し、回答者として悩んだからこそ見えてきた現代社会の姿を描いた本があります。

 

 

本日紹介するのは、東京大学文学部を卒業し、同大学院に進んだ後、博士課程退学、家族社会学を専門とし、中央大学文学部教授山田昌弘さんが書いた、こちらの書籍です。

 

 

山田昌弘『悩める日本人「人生案内」に見る現代社会の姿』(ディスカヴァー・トゥエンティワン)

 

 

この本は、現代社会を動かす潮流の深層を鋭く分析し、「パラサイトシングル」「格差社会」「婚活」等の時代を表す概念を生み出してきた社会学者である著者の考察によって、現代社会の悩みとその解決策が見えてくる書です。

 

 

 

本書は以下の8部構成から成っています。

 

 

1.社会学者と『人生案内』回答者の間で

 

2.相談内容から見えてくる現代社会の姿

 

3.現代における「人生相談」の意義と考察の限界

 

4.多様な愛や性の形に関する相談

 

 

5.中高年のパラサイト問題について

 

6.夢を見ていられない若者たち

 

7.大きな転換点にある現代社会

 

8.再び、社会学者と『人生案内』回答者の間で

 

 

 

この本の冒頭で著者は、家族社会学者である自分に寄せられる相談には以下の3大傾向があると分析しています。

 

 

◆ 多様な愛や性に関する相談

 

◆ 中高年の親が同居している成人後の息子や娘の相談をしてくるもの

 

◆ なかなか自分の夢を描けない・見られないという若者からの相談

 

 

 

これらの相談は、人生を歩むうえで「モデルなき時代」に突入している、ということの現れだと著者は言います。

 

 

この後、本書では、上記の3種類の相談のそれぞれについて具体的な相談事例と回答を紹介し、著者の「現代社会の姿」に関する考察が加えられています。

 

 

詳細についてはぜひ、この本を手に取ってお読みください。

 

 

 

本書の後半では、現代社会が次の2つの意味で大きな転換期を迎えていることを指摘しています。

 

 

◆ 日本型格差社会の進行

 

◆ 価値観の多様化

 

 

前者の「格差社会」の問題については、世界的に貧富の差が拡大していますが、日本ではとくに、レールに乗っている人と、そうでない人の差が大きい社会だと著者は説いています。

 

 

つまり、レールに乗りたくても乗れない人が増え、その結果、経済状況、社会状況、家族状況のいずれにおいても「底辺」といわれるところにいる人たちが増えているのです。

 

 

また、いったんレールから外れたら元に戻ることが難しい状況にもなっています。そして昔とは異なり、いったんそういう状況に陥ると、人生をきちんと組み立てられるような制度になっていない、と指摘しています。

 

 

例えば家族についていえば、昔のモデルである「20代に結婚、子どもを持ち、離婚せず、子どもが結婚して孫が育っていく」というような典型的な人生を送ることができる人の割合はどんどん減っている、ということです。

 

 

国の機関の予測によれば、現在の大学生の「4人に1人は結婚できない」「結婚した3人のうち1人は離婚する」ということになります。

 

 

著者の結論は、これからはモデルから外れた人、こぼれた人が多く出て、しかも外れ方も多様になっているため、そういう人をサポートして希望が持てる社会にすべきだ、ということです。

 

 

モデルからこぼれないようにするのではなく、そもそも理想とする人生モデルが無く、生き方が多様化している欧米の社会のように、自分で自分のモデルをつくり、社会はそれをサポートするべきという価値観で制度を作るべきなのです。

 

 

 

次に、現代社会が大きな転換期になっている2つ目の側面である「価値観の多様化」についてですが、これは日本で強く意識されている「世間がどう見るか」という「世間体」を重視するために悩みが出てしまう、という問題があります。

 

 

他人からの批判を気にするのは世界共通かも知れませんが、「世間体」という形で強く存在しているのは日本くらいだそうです。

 

 

それは、日本がこれまで「単一民族、単一文化、中流社会」という神話が強かったからだ、と著者は言います。

 

 

そして、人から文句を言われないように行動するという「世間体社会」に日本はなっています。それは、99人がOKでも、1人から文句を言われるとダメになってしまうほど極端だ、と本書では説明しています。

 

 

近所に保育園が出来たら「うるさい」と反対する人が出たら、そちらの意見が通ってしまったり、学校、塾やアルバイト先で交際を始めると、「何であんな奴と付き合うのか」と誰かから言われたり、LINEやツイッターに書かれてしまって恋愛に臆病になる若者が増えている、などです。

 

 

警察や消防に携わる人が、パトカーや消防車を駐車場において外食することを許さない、というクレームも同じものでしょう。

 

 

普段、会社で経営者に搾取され、安くこき使われている鬱憤やストレスを、安定した立場で恵まれている公務員に、やっかみも含めて吐き出している、と見えなくもありません。

 

 

今や日本は、全員が了承しないとダメという偏狭な社会ではないかと思えるほどだと著者は指摘しています。つまり、日本はリスク過剰社会であり、「世間体」というモンスターがはびこる「生きにくい社会」、「不寛容な社会」になっているのです。

 

 

あなたも本書を読んで、悩める日本人が「人生案内」に寄せる投書と回答による考察から、現代社会の姿を考えてみませんか。

 

 

 

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では、今日もハッピーな1日を

 

 

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